清村矯正歯科

清村矯正歯科のブログでは、矯正歯科治療の疑問や症例について解説しています。

Archive for the ‘不正咬合’ tag

不正咬合の種類について(5)

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矯正治療をもっと知りたい vol.6

正咬合の種類について 過蓋咬合・開咬
こんにちは。Value Linkの野々村太郎です。連載でお送りしている「清村先生へインタビュー」今回は「過蓋咬合(かがいこうごう)」と「開咬(かいこう)」について聞いてみたいと思います。
野々村(以下N):今回は「過蓋咬合」と「開咬」について教えて下さい。宜しくお願い致します。
清村先生(以下K):宜しくお願いします。
N:まず、「過蓋咬合」と「開咬」とは、どのような状態なのか教えていただけますか?
K:はい。前回、前々回と「出っ歯」や「受け口」についてお話ししましたが、これらは上下のアゴ、前歯の位置関係が前後にズレた状態です。「過蓋咬合」と「開咬」は、この位置関係が上下にズレた状態の不正咬合です。
過蓋咬合は下の歯が見えないほど、上の歯が覆いかぶさっている深い咬み合せです。

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逆に開咬は、奥歯は噛み合っているのに前歯が噛み合わない浅い咬み合せです。

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N:そのような歯並びの場合どのような弊害がありますか?
K:過蓋咬合の場合下の歯が、上の歯ではなく上アゴの歯ぐきと噛んでいるので、歯や歯ぐきを痛めたり、下アゴの動きが制限されて、関節に力がかかりすぎて顎関節症を招いたりすることがあります。
矯正治療のご相談は、埼玉県川口市の清村矯正歯科まで

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11月 23rd, 2009 at 11:24 pm

不正咬合の種類について(4)

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矯正治療をもっと知りたい vol.5

不正咬合の種類について 上顎前突
皆さま、こんにちは。
株式会社Value Linkの野々村です。
今回は、出っ歯(上顎前突)について清村先生に聞いてみたいと思います。
野々村(以下N): 清村先生、今日は「いわゆる出っ歯」についてお聞きしたいと思います。よろしくお願い致します。
先生: よろしくお願い致します。
あまりいい表現ではありませんが「出っ歯」は、専門的には上顎前突といい、上の前歯が、下の前歯よりも極端に前に出ている状態のことをいいます。

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[ 写真① ] [ 写真② ]
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[ 写真③ ] [ 写真④ ]

写真を見ていただくとわかると思いますが、前歯が出ていることで、口が閉じづらくなるので、普通にしていても唇が前に突き出ていて、見た目があまりよくありません。
この「いわゆる出っ歯」を治したいという理由で矯正治療を始める方は、「反対咬合」「叢生」の次に多く、その割合が昔に比べて増加傾向にあるようです。

指しゃぶりや頬杖が症状を悪くする

N: 見た目が良くない以外に何か不都合なことはありますか?
先生: 上顎前突の場合、外傷を受けた場合に唇を傷つけたり、前歯が欠けたり折れてしまう危険性が高くなります。また、前歯で食べ物を噛みづらいので、奥歯でばかりものを噛むようになるので、アゴの関節や奥歯に負担がかかりやすくなります。極端に前歯が出ている人はサ行の発音に影響が出ることもありますね。
N: この上顎前突の原因は何ですか?
先生: 上顎前突には骨格に問題があるタイプとないタイプに分類することができます。骨格的に問題があるタイプは、やはり遺伝的な要素が関係していることが多いように思います。受け口(反対咬合)の回に説明したように親子で顔が似ているのと同じ理由ですね。ただし、遺伝的に問題がなくても、下のあごの成長を阻害する癖や習慣が長期間続くと、骨格的な問題を引き起こすことがあります。
N: 具体的にはどのような癖と習慣ですか?
先生: 最もわかりやすいのは指しゃぶりです。
小学校入学までに止めらていればあまり問題にはなりませんが、永久歯が生えてからも続けていると、上の前歯が外(唇側)に出て、下の歯が内(舌側)に倒れてしまい、その後の歯並びに大きな影響を与えます。一度このような出っ歯の状態になると、癖を止めても上下の前歯の隙間に下唇が入ってしまい、今度は唇を噛む癖「咬唇癖」(写真⑤)を引き起こしてしまいます。

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[ 写真⑤ ]

出っ歯というと、上の前歯が出ている状態をイメージすると思いますが、下のアゴの成長が悪いために相対的に上の前歯が出た状態でも上顎前突に分類されます。
写真①、②の方はこの状態にあります。上の前歯の位置は少し出ているだけなのに、下アゴの成長が不足しているために上顎前突の状態です。このように下アゴの成長を阻害する癖、習慣として挙げられるのが「うつぶせ寝」「頬杖」です。どちらも下アゴを後ろへ押し付けることになるため、成長期にこの習慣が続くとせっかく下アゴが前に成長しようとしているのを邪魔してしまいます。
N: なるほど、いろいろな癖や習慣によって症状がさらに悪くなることがあるわけですね。
先生: そうです。高校生以上の年齢の患者さんで、前歯が極端に出ている人をみると、もう少し早く来てくれていればここまでひどくならなかったのになぁと思うことがあります。
N: 次に治療方法について伺います。やはり骨格に問題があるタイプとそうでないタイプでは治療方法が違うのですか?
先生: はい、上アゴが大きく、前に出ているタイプの場合はそれ以上、上アゴが前に成長しないようにヘッドギアーという装置を使います(図①)。この装置は奥歯を後ろに移動することも出来るので、骨格に問題がない上顎前突でも使用することがあります。逆に下アゴが小さいタイプの場合はマウスピースのような装置(ファンクショナルアプライアンス)を使います(写真⑥)。どちらも取り外し可能ですが、毎日決められた時間、数か月~1、2年使うことで効果が出てきます。
このような装置を使ってもなお、前歯が出ている重い症状の人、成長が終わって永久歯がすべて生えかわっている人の場合は、前歯を後ろに引っ込めるためにやむを終えず永久歯(小臼歯)を抜歯して、すべての歯にブラケットを付けて歯を移動する本格的な矯正治療で症状を改善します(下図②参照)。

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[ 図① ] [ 写真⑥ ]

どのような装置を使うかはその人の症状次第

20091005_08[ 図② ]

N: 骨格の問題や、癖、習慣を治すにはやはりこどもの頃から治療を始めた方が、良さそうですね。
先生: その通りです。
症状を悪化させないためにも、適切な時期からの早期治療が大切ですね。
N: 今日の話も大変勉強になりました。
矯正治療のご相談は、埼玉県川口市の清村矯正歯科まで

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10月 5th, 2009 at 3:28 pm

不正咬合の種類について(3)

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矯正治療をもっと知りたい vol.4

不正咬合の種類について 叢生
皆さま、こんにちは。株式会社Value Linkの野々村です。
前回のニュースレターでは、“不正咬合の種類 叢生” について、お聞きしました。
今回は、“不正咬合の種類②叢生(そうせい)の続き” について清村先生に聞いてみました。

野々村(以下N): 叢生の場合、具体的にどのような装置を使いますか?
先生: はい、下の写真①はアゴの幅を広げる装置でで、取り外しができるタイプのものです。これ以外にもいろいろなタイプがありますが、このような装置でまずアゴの幅を広げて歯が並ぶスペースを確保してから、今度は「ブラケット」という金具を歯に接着して細い針金を調整してデコボコを治していきます(写真②、③、④)。

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[ 写真① 拡大装置 ] [ 写真② ]
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[ 写真③ ] [ 写真④ ]

このケースはまだ乳歯が残っているお子さんですが、永久歯がすべて生え揃っている場合はこの装置をすべての歯に接着して治していきます(写真⑤)
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N: 次に、この叢生の原因についておたずねします。昔の人と比べてやわらかいものばかり食べているから、アゴの発育が悪くなっているのでしょうか?

むし歯予防で叢生の予防になることも・・・

先生: うーん・・・そのような影響もあるのかもしれませんが、だからといって硬いものばかり食べ ていれば、アゴが大きくなるというわけでもないので、それだけが原因ではないと思います。以前お話したように歯の大きさやアゴの大きさは遺伝します。もともと歯が大きいご両親のお子さんの歯は、やはり大きいですから、遺伝的要素の影響は強いと思います。それから、むし歯で早期に乳歯が抜けてしまうことも叢生の原因のひとつですね。下の写真を見てください。
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少し見づらいかもしれませんが、一番うしろに見えているのは6歳臼歯です。左側は乳歯が2本抜けてしまっていますね。
左側の6歳臼歯はこのままだと矢印の方向に移動してしまいます。そうすると本来乳歯が抜けた後に生える予定の永久歯(小臼歯)の生える場所が無くなって左側はひどい叢生になってしまいます。
N: なるほど。むし歯をそのままにしておくと歯並びが悪くなる原因になるわけですか・・・では、治療はいつから始めればいいでしょうか?
先生: そうですね。デコボコの程度やその人の歯の生え変わりの早さにもよりますが、できれば永久歯が生え揃う前、永久歯の前歯が生えてきた頃がいいですね。
この時期にレントゲンを撮影して、いつ永久歯が生えてくるか、骨格に異常がないかなどがわかっていたほうが、将来的に歯を抜かないで治療できる可能性が高くなりますし、もし、すぐに治療が必要でなくても、一番いいタイミングで治療を開始することができるようになりますからね。
N: なるほど。では、叢生はどのような方法で治療しますか?
先生: そうですね。歯並びが悪くなる原因は、歯やアゴの大きさなどが遺伝する先天的なものと、成長過程や生活習慣などの後天的なものと、大きく2つに分けられます。
N: そうですか。検査を受けておけば、治療にベストなタイミングがわかるわけですね。今回もいろいろ勉強になりました。
矯正治療のご相談は、埼玉県川口市の清村矯正歯科まで

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5月 28th, 2009 at 12:00 pm

不正咬合の種類について(2)

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矯正治療をもっと知りたい vol.3

不正咬合の種類について 叢生
皆さま、こんにちは。株式会社Value Linkの野々村です。
前回のニュースレターでは、“不正咬合の種類 反対咬合”について、お聞きしました。
今回は、“不正咬合の種類②叢生(そうせい)”について清村先生に聞いてみました。

野々村(以下N): 清村先生、今回もよろしくお願い致します。早速ですが、叢生(そうせい)とは、どのような歯並びの状態のことでしょうか?
清村先生(以下先生): 一般的には乱杭歯と呼ばれており、歯並びに連続性がなく、前後左右にデコボコしている状態のことを叢生と呼んでいます。
歯の大きさに比べてアゴが小さいことが要因でこのような状態に歯が並んでいます。
(写真)

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[ 叢生歯列(前から) ] [ 叢生歯列(上アゴ) ] [ 叢生歯列(下アゴ) ]

誰が見てもすぐわかる異常ですので、叢生を理由に来院される方の割合はかなり多いですね。
N: このデコボコの状態のままにしておくと、どんな問題がおこるのでしょうか?

見た目が悪いだけではなく、いろいろな弊害・・・

先生: 見た目が美しくないことはもちろんですが、歯が重なり合っていますので、歯磨きが難しく虫歯や歯周病になりやすい状態だと言えます。また、虫歯になってしまうと重なっている部分の治療も難しくなります。
N: 確かに、磨ききれずに汚れが溜まって虫歯や歯周病になりやすそうですね。他にもそのままにしておいて、問題はありますか?
先生: そうですね。デコボコに並んだ歯列の状態は、きれいに並んでいる状態に比べてアゴの骨にしっかり歯が植わっていません。はみ出している歯は噛む力(咬合力)に対してダメージを受けやすいので、部分的に磨り減ったり、歯の根っこが短くなったりすることが多くなります。
N: なるほど。では、叢生はどのような方法で治療しますか?
先生: そうですね。歯並びが悪くなる原因は、歯やアゴの大きさなどが遺伝する先天的なものと、成長過程や生活習慣などの後天的なものと、大きく2つに分けられます。
N: 後天的な原因には、どんなことがあるのですか?
先生: 叢生は、アゴのなかにきれいに歯が入りきれない状態で起こりますので、アゴの幅をを広げたり、奥歯を後ろに移動させたりして歯が並ぶスペースを確保するか、永久歯を抜いてスペースを確保する治療方法があります。
どちらの方法を行うかは、その方の骨格や筋肉の状態、叢生の程度、口元のバランス、今後のアゴの成長量などを考慮して決めていきます。
N: 大人でもアゴの骨を広げることはできますか?
先生: 大人の方でも可能です。でも、やはり成長期のお子さんのほうが広げるのは簡単ですね。
N: では、すべての方が歯を抜かずに叢生を治せるのですか?
先生: 残念ながらそういうわけにはいかないのです。デコボコの量が多い方や骨格や咬み合せに問題がある方の場合は、やむを得ず永久歯を抜くこともあります。この問題はいろいろ説明が必要ですので、今度の機会にお話したいと思います。(2/2へつづく
矯正治療のご相談は、埼玉県川口市の清村矯正歯科まで

Written by kiyomura

5月 28th, 2009 at 11:03 am

不正咬合の種類について(1)

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矯正治療をもっと知りたい vol.2

株式会社Value Linkの野々村です。前回は、清村先生に“歯並びが悪くなる原因”について、お聞きしました。今回は、不正咬合(歯並びが正常で無い状態)の種類について伺ってみたいと思います。
受け口の治療は早めに治してしばらく様子を観ていく
野々村(以下N):清村先生、今回もよろしくお願い致します。
清村先生(以下先生): よろしくお願いします。
N: 歯並びやかみ合わせの治療をされている患者さんの中で最も多い症状というのは、どのような症状なのでしょうか?
先生: 反対咬合(はんたいこうごう)と叢生(そうせい)が理由で治療されている方が多いですね。この2つは誰が見てもわかる不正咬合ですので、やはり割合としても多くなるのだと思います。
N: それでは今回は反対咬合について詳しく教えてもらえませんか?
先生: はい。反対咬合とは、一般的に受け口といわれるもので、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態です。見た目がおかしいという問題以外に、食べ物を良く噛めない、発音に影響が出るといった事があります。
前回、不正咬合の原因について話をしましたが、受け口の場合はやはり遺伝的な原因が関与しているケースが多いようです。
N: もう少し詳しく教えて頂いても宜しいですか?
先生: はい。例えばお子さんが受け口で、ご両親、ご親戚の誰かが受け口、または下アゴが大きいタイプの場合は、その遺伝的な影響で骨格的にそのお子さんも下のアゴが大きくなりやすく、注意しなければいけないと判断します。厄介なことに下アゴは、身長が急激に伸びる思春期に腕や足の骨と同時期に大きくなりますので小さい頃は、受け口でなくても、成長するにつれて下顎が大きくなり、受け口になる人もいます。
N: それではいつごろか治療をはじめるのがいいのでしょうか?03_a
先生: 本格的な成長が始まる前の小学校3,4年生ま始でには始めたほうがいいでしょうね。以前は「前歯が永久歯に生えかわるまで様子をみる」というのが当たり前でしたが、最近のトレンドとしては乳歯の頃からマウスピースのような簡単な装置で治して、その後は永久歯が生えるまで経過を観ていく方法が主流になりつつあります。
N: どのような装置で治療をしますか?
先生: 歯が生え変わり中のお子さんの場合、骨格的な問題があまり無いようであれば、歯の裏側から付ける装置で1年以内に治ることもありますが、骨格的な問題がある場合は野球のキャッチャーマスクのような装置を夜間使用してもらって、アゴの成長を調整していきます。この場合、治療期間が2,3年かかる事もあります。
N: 大人になってからの治療はどのように行いますか?
先生: ブラケットという金具をすべての歯につけて歯を移動して治療します。受け口は治りますが、「アゴが出ている」といった骨格的な改善は出来ませんので、もし、希望する場合は外科手術が必要になることがあります。
N: なるほど。アゴの大きさなどの骨格的な問題がある人は、子供の頃から治療したほうが将来安心ということですね?
先生: そうですね。
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Written by kiyomura

3月 16th, 2009 at 5:02 pm