清村矯正歯科

清村矯正歯科のブログでは、矯正歯科治療の疑問や症例について解説しています。

Archive for 1月, 2018

よくある質問Q&A 子供の矯正治療(9)

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新年明けましておめでとうございます。年末年始はいかがお過ごしだったでしょうか?
みなさんご存知のことと思いますが、去年の後半から新しいスタッフに2名入ってきていただきました。
これまでは短期間に2名スタッフが入れ替わることはなかったので、最初は不慣れでご迷惑をお掛けすることもあるかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。
よくある質問Q&Aの子供の矯正治療も9回目になりました。今回は、以前にも紹介したことですが、大事なことなので矯正治療中の虫歯予防についてのお話です。
Q14.矯正治療中の虫歯予防や歯磨きについて教えてください。
マルチブラケット装置(図1)は、基本的に全て大人の歯に生え変わった人に使う装置ですので、小学生以下のお子様が付けることはほとんどないのですが、このブラケットという小さな金具を、部分的に使用することは子供の治療でもよくあります。(図2)
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図1 マルチブラケット装置:全ての歯にブラケット(金具)が付いている


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図2 前歯だけにブラケットが付いている状態(ユーティリティーアーチ)

今回はこの装置が付いているときの歯磨きのやり方について詳しく説明したいと思います。

矯正中の歯磨きについて説明する前に、通常の歯磨き、虫歯予防についてのポイントをお話しします。
ポイント1 「虫歯になる、ならない」には個人差がある。
ポイント2 「歯磨きをやっていると、できている」は違う。
小、中学校などで習ったことがある方もいらっしゃると思いますが、虫歯の原因には4つの要素が関連しています(図3)。
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図3 虫歯の原因となる4つの要素


一つ目は歯質(もともとの歯の強さ)二つ目は虫歯菌(虫歯の原因となる細菌)の数、三つ目は虫歯菌のえさとなる食べ物。それに細菌が増えたり歯を溶かす酸を出すために必要な時間です。
あまり歯磨きをしないのに、虫歯にならない人は、歯質が強かったり、もともとお口の中に虫歯菌が少なかったりする人と思われます。
歯質を強くするには、よく知られているようにフッ素を定期的に塗布したり、虫歯菌を減らすには薬剤(一部の歯磨き粉や洗口液)を使用したりするのが有用です。
ただし、効果的に虫歯を予防するには1つの要素だけを良くするのではなく、すべての要素を改善することが重要です(図4)。
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図4 すべての要素を減らすことが重要
虫歯菌のえさ(食べかす)を減らすのに最も有用なのが歯磨きです。
歯磨きによって食べかすがなくなれば虫歯菌の数も減ります。
そして、もう一つ重要な要素が時間です。食後しばらくすると、菌が繁殖して菌が生み出す酸によってお口の中は酸性になり、虫歯になりやすくなります。
食べたら歯を磨くを徹底すればそれを防ぐことができます。
飴を長時間なめたり甘い飲み物をゆっくり飲み続けるような食習慣はやめるべきです。
このように「もともとの歯の強さやお口の中の虫歯菌の量、それに食生活や習慣によって虫歯のなりやすさが違う」というのが一つ目のポイントです。
二つ目のポイントは、「歯磨きが本当にしっかりできているかどうか」です。
自分では磨いているつもりでも実は磨き残しがあったり、磨いているのに汚れが取りきれていない場合は、やはり虫歯になってしまいます。
大人でも同じですが、特にお子様の場合は磨き残しが起こりやすいので、保護者の方がチェックする必要があります。
では、どのようなところに気を付けてチェックすればよいか説明します。
磨き残しは目で見ればある程度わかると思いますが、お口の中は暗いですので、できれば明るい場所でみてあげてください。
また、磨き残しがあるところは、その状態が何日か続くと歯茎に炎症がおきて(歯肉炎)腫れてきますので、すぐにわかるはずです。
その部分は弱い力で磨いてもすぐに出血しますが、それでも磨かないと歯肉炎は治りません。(図5)
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図5 全体的に磨けていない。特に上下の前歯に歯肉炎が著名
多くの患者さんにみられる共通した磨き残し部位は装置と歯茎の間、上顎なら装置の上、下顎では装置の下の部分です。
この部分の磨き方は図6、7のように歯ブラシを立てて上から(下から)装置に溜まっている食べかすを細かく振動させて取り除く方法が効果的です。
また、この部分は歯茎が近くにあるので、まとめて3、4歯を磨くのではなくひとつひとつの歯を磨くようにしないと、歯茎を傷つけることがあります。
一般的にお子さんは歯磨きの力が弱いため、本人が磨いているつもりでも汚れが取り除けていない場合がほとんどだということを保護者の方は覚えておいてください。
歯肉からの出血は歯磨き不足のサインです。お子さんが仕上げ磨きを痛がる場合、初めは柔らかい毛の歯ブラシを使うのもいいアイディアです。
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図6 前歯の磨き方


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図7 奥歯の磨き方





Written by kiyomura

1月 11th, 2018 at 2:31 pm