清村矯正歯科

清村矯正歯科のブログでは、矯正歯科治療の疑問や症例について解説しています。

Archive for 7月, 2015

正しい嚥下と誤った嚥下(2)

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前回説明した「正しい嚥下」のポイントをまとめると以下の5つになります。
1) 舌の先がスポットについている(図1)
2) 唇は閉じてリラックスしている

3) 奥歯は噛んだ状態
4) 舌の先から真ん中、後ろへと徐々に上顎の裏(口蓋)を吸い上げる
5) 舌後方部(奥の部分)が軟口蓋(ノドの奥)と接触する
4)、5)は自分で認識するのが少し難しいかもしれませんが、1)、2)、3)はすぐに確認できると思います。食事の時に口の周りが汚れやすい人は、鼻呼吸が苦手なために口が開いていたり、物を飲み込む時に舌が前に出ていることが原因なので、要注意です。
逆に飲み込む時に唇や周りの筋肉が緊張している人は、舌の圧力で食べ物が飛び出ないようにしていることが原因の可能性があります。奥歯を噛みしめずに飲み込んでいる人は多くの場合、上下の歯の隙間に舌が入り込んでいるためと思われます。これらの習慣は以前お話ししたように上顎前突や開咬などの不正咬合の原因となります。
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図(1)スポット(切歯乳頭後方部)

正しい嚥下ができない原因
1)〜5)の条件を満たした状態で物を飲み込むことが「正しい嚥下」になるので、トレーニングを行っていくのですが、どうしてもできない場合もあります。口呼吸をする人の中には、鼻やのどの病気(アレルギー性鼻炎、扁桃肥大など)が原因のことが多く、症状がひどければ鼻での呼吸ができないので、耳鼻科での治療を先に行う必要があります。また、舌小帯(舌の下にある筋 図?)がもともと短い舌小帯短縮症の場合、舌が口蓋まで持ち上がらないため、切除が必要になります。舌が上に持ち上がらない人は発音にも影響が出ます。
上記のような問題がなくても、舌の力が極端に弱かったり、舌を思うように動かせない人には、まずはじめに舌を動かすためのトレーニングが必要になります(ベーシックエクササイズ)。また、指しゃぶりや鉛筆を噛むなどの癖がある人は、トレーニングを始める前に止めるようにします。症状によっては、顎を広げたり前歯を並べるなどの矯正治療を先に行う場合もあります。
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図(2)舌小帯
1)ベーシックトレーニング
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舌を動かすトレーニングです。これらの動きができない場合は、正しい嚥下ができないため、まずこの運動から始めます。嚥下に問題がある人は?や?の動きが苦手の人が多いです。舌の先だけでなく舌の真ん中を意識的に動かすことが難しいようです。
初めはできなくても毎日練習すればほとんどの人はできるようになります。
2)レッスンの内容
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ベーシックトレーニングができるようになったら、正しい舌の位置を覚えること、そして正しく嚥下するための舌の動かし方を覚えます。
ポッピング、オープンアンドクローズ、タングドラッグなどの運動は、嚥下に問題がある人が普段使っていない舌の筋肉を鍛える運動です。<参考文献> 舌のトレーニング/わかば出版株式会社

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