清村矯正歯科

清村矯正歯科のブログでは、矯正歯科治療の疑問や症例について解説しています。

不正咬合の種類(5)過蓋咬合

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今回は過蓋咬合について、Q&A形式で説明していきます。

 

Q:過蓋咬合(かがいこうごう)とは、どのような歯並びの状態のことでしょうか?

下の前歯がほとんど見えない位に上の前歯がかぶさっている状態のことです。正常な状態では奥歯で噛んだ時に、下の前歯が上の前歯の裏側に軽く触れていますが、過蓋咬合では下の前歯の切端は、歯ではなく上の前歯の内側の歯茎を噛んでいることもあります。

歯の大きさや傾斜角にもよりますが、上の前歯と舌の前歯の重なり(オーバーバイト)は2~4ミリが正常値ですので、それより大きいと過蓋咬合に分類されます(図1,2、3、4、5)。

 

図1過蓋咬合(前から)

 

図2過蓋咬合(横から)

 

又、上の前歯が内側に倒れていなくても図3,4のように前に傾斜していたり、図5のように反対咬合になっていても上下の歯の重なりが大きいと過蓋咬合と呼ばれます。

 

図3過蓋咬合の上顎前突(前)

 

図4過蓋咬合の上顎前突(横)

 

 

図5過蓋咬合の反対咬合

 

 

Q:過蓋咬合をそのままにしておくとどのような弊害がありますか?

見た目はそれほどおかしいとは感じないかもしれませんが、下顎の前後左右の動きが阻害されるため、顎の関節に影響が出やすく、下顎の前方への成長も抑制されます。又、下顎の前歯が磨り減ったり、上顎の前歯に強く当たることで出っ歯になることがあります。

 

Q:どのような治療方法がありますか?

前回の開咬の話の時にも説明しましたが、過蓋咬合の原因も骨格や筋肉など、遺伝的な要素が強く(図6)、成長がある場合はできるだけ骨格的な問題を改善する装置(ヘッドギアやバイオネーターなど)で治療を行います(図7、8)。又、ユーティリティーアーチ(図9)を使用して上の前歯を鼻の方向に押し込むような力(圧下)をかけて深い噛み合わせを治します。

 

図6過蓋咬合になりやすい骨格(反時計回りに成長しやすい)

 

図7ヘッドギア 上顎臼歯の遠心移動と挺出による咬合挙上を期待する。

 

 

成長が終了している場合はマルチブラケット装置で治療を行いますが、基本的に小臼歯の抜歯を行うと噛み合わせが深くなりやすいため、できるだけ抜かずに治す方法を選択します。

特に下の歯は抜きたくないためデコボコがたくさんあっても何とか抜かずに済むように工夫します。例えば先ほど説明したヘッドギアは奥歯を後ろに移動させることができるため、噛み合わせが深くなりにくくなりますし、側方に歯列を拡大することでも噛み合わせは多少浅くなるのでマルチブラケット装置と併用することもあります。

 

図8バイオネーター 臼歯部側方歯部の挺出を促す

 

図9ユーティリティーアーチ 前歯部と臼歯部にのみブラケットが装着されている。

 

図10 症例1正面

 

症例1。犬歯の根元が露出しているため上顎左右の犬歯を抜歯して治療しました。下の前歯は上の歯と強くぶつかっているため初めはブラケットがつけられません(図12)。
下の歯は抜歯していません。治療前は見えなかった下顎の前歯が見えています(図13,14)。

 

Q:過蓋咬合を予防するにはどうすればいいですか?

過蓋咬合、骨格や咬合力(嚙む力)に影響を受けます。一般的には6歳臼歯の後ろから第2大臼歯が生えてくることで噛み合わせが少し浅くなるのですが、過蓋咬合になりやすい骨格の方はこの時期になっても噛み合わせは深いままです。このような骨格の方は永久歯がすべて生え変わる少し前から奥歯を後ろに移動したり、側方に拡大するなどの治療を始めることで、ある程度過蓋咬合の悪化を防ぐことができます。(図15,16,17,18)

 

 

図11 症例1(横)

 

 

図12 症例1(治療途中)

 

 

図13 症例1(治療後正面)

 

 

図14 症例1(治療後横)

 

 

噛む力が強すぎることが原因の不正咬合

 

図15 混合歯列期の過蓋咬合

 

 

図16 横から見たところ、上顎前突の症状もある

 

 

図17 ヘッドギア使用後

 

 

図18 永久歯の生え変わりと奥歯が後ろに移動したことで過蓋咬合がある程度改善している。

 

Q:過蓋咬合の治療の開始時期はいつがいいでしょうか?

成長に個人差があるため一概には言えませんが、男児なら小学校高学年ごろから、女児は中学年ごろから。横の歯が生え変わり成長が始まる少し前に治療を始めるといいと思います。

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Written by kiyomura

7月 4th, 2023 at 2:08 pm