清村矯正歯科

清村矯正歯科のブログでは、矯正歯科治療の疑問や症例について解説しています。

よくある質問Q&A 子供の矯正治療(6)

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前回のつづきで、これまでに初診相談やメール相談でよく質問されたことについてお答えします。


Q11 乳歯が抜けたのに、なかなかおとなの歯が生えてきません。
正常な歯の生え変わりでは、乳歯が抜けると、すぐに永久歯が生えてきます。これは骨の中にある永久歯が生えてくる過程で、乳歯の根っこが吸収し、自然に脱落するからです(図1,2)。
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(図1, 四角の枠に注目)

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(図2, 半年後、上下各4本の乳歯が抜けて永久歯に生え変わった)
何らかの理由で、永久歯がまだ骨の奥の方にあるのに乳歯が抜けてしまうと、永久歯がなかなか生えてこない状態が続きます。
その理由とは、虫歯や打撲などいろいろですが、原因がわからないことも良くあります。そのまま様子をみていてもいい場合もありますが、あまりに遅い場合は、現在生えている歯が移動して生えてくる歯のスペースがなくなることがあるため、何かしらの処置が必要になります(図3,4)。
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(図3, 一本だけ永久歯が生えるスペースが足りない)
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(図4, ここまでは内側に生えるか骨の中で止まってしまう)
また、もともと永久歯の数が足りないこと(先天欠如歯)や、あとから生えてくる歯の位置が悪い場合は、いくら待っても出てこないこともあるため、心配な場合はレントゲンを撮って確認することをおすすめします(図5,6)。
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(図5, 右の前歯(側切歯)が生えてこない。生えるスペースもない状態)
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(図6, 図5の写真のレントゲン。前歯はもともと3本しかない。側切歯の先天欠如)
矯正治療をする人の中には、もともと歯の大きさに対してアゴが小さすぎるため、永久歯が生えるスペースがもともと足りない人もいます。
この場合は、本来生えるべきところとは違う場所に生えてきたり(図7)、骨の中に埋まったままになってしまうことがあります(図8)。
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(図7, 生える場所がなく、かなり上部から生えてきた犬歯「八重歯」)
08
(図8, 犬歯の埋伏。隣の歯の根が吸収)
こどものうちにアゴを広げる治療はこのような状態が起きないように予防する効果が期待できます。
●埋伏歯の治療
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(図9, 図8レントゲンの口腔内写真。右上犬歯が埋伏して隣の前歯(側切歯)が保存できず抜歯後、開窓術を行い犬歯の牽引開始したところ)


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(図10, 図9から2か月後)


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(図11, 図9から7か月後)


埋まったままの歯(埋伏歯)は、他の歯に影響がなければそのままにしておくこともありますが、邪魔な場合は抜かなければなりません。もっとも埋伏しやすいのは第3大臼歯で、大人になって痛みが出て抜くことが多い親知らずのことです。
歯並びのことを考慮して、埋伏歯を骨の中から引っ張り出すこともあります(図9〜11)。
埋伏牽引を行うには外科処置が必要で、こどもの矯正治療では、どのタイミングで行うのが良いか見極めるのが困難なことがあります。
単に引っ張り出すだけではなく、その前に必ず埋伏歯が並ぶだけのスペースを歯列に確保しなければならないため、治療が複雑で期間も長くかかることが多くなります。

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