清村矯正歯科

清村矯正歯科のブログでは、矯正歯科治療の疑問や症例について解説しています。

よくある質問Q&A 大人の矯正治療(3)

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Q3.何歳ぐらいまで治療ができますか?

A3.とくに何歳以上の人はできないということはありません。

 

60歳代の方でも治療をしたことはあります部分矯正でしたら70歳代の方を治療した経験もあります。

年齢よりも患者さんのお口の中の状態が治療できるかどうかの判断に関係します。

下の写真は50歳代後半の方の治療前の状態です(図1、2)。

きれいに手入れされていますが年齢相応の歯と歯茎の劣化が認められます。

 


図1(治療前)

 

 


図2(治療前)

 

下はレントゲン写真です。歯を支えている骨には異常がありません。

 


図3(治療前レントゲン)

 

治療後の写真です。気になっていた前歯のデコボコが治りかみ合わせも安定しています。

 

図4(治療後)

 

 

図5(治療後レントゲン)

 

上の犬歯の後ろの歯を抜歯して治療しましたが、治療後のレントゲンをみても親知らず以外異常はありません。歯を支えている骨も健全です。

 

10~20代と比べた場合に40代以上の方に多くみられる特徴は、

1)咬耗(歯のすり減り)が多い

2)補綴物(詰め物や被せもの)が多く、再治療が必要な場合がある

3)歯肉や歯槽骨(歯を支えている骨)が減少している(図5)
などが挙げられます。

 

1)は年齢が若くても歯ぎしりがある人には多くみられます。

2)については治療がしっかりとされていれば大丈夫ですし、異常があれば矯正治療前に治せば問題ありません。

3)についても、歯が揺れるほどの歯周疾患がなければ治療が可能ですし、これ以上歯周病を進行させないためにかみ合わせを良くする目的で矯正治療を行う場合もあります。

 

(図6)犬歯が並びきれず骨の外に出ているため歯根が露出している(30代)

 

(図7)治療前 裏側に生えている前歯が差し歯で形もあまりよくない

 

(図8)治療後 前に出てきた差し歯は歯根が見えているため再治療が必要(40代)

 

(図9)治療前 かなり上の前歯が傾斜している。元々歯が並ぶスペースが無いため下の前歯はハの字に並んでいる(30代)

 

(図10) 治療後 支える骨が少ないため歯と歯の間に隙間ができている

 

補綴物は、元々の悪い歯並びに合わせて形を変えて作ってあることが多いので、矯正治療後は正しい形態に作り替える必要がある場合があります。(図7、8)

又、銀歯や差し歯にはブラケットが接着しにくいのですが、最近は接着剤の性能が良くなったので、何とかなることが多いです。

 

デコボコがあったり、歯が大きく傾斜している状態から適切な位置に歯を移動させると、治療前には無かった歯と歯の間に隙間ができることがあります。(ブラックトライアングル図9、10)

 

これは元々歯を支える骨がないところに歯が並んでいたために、治療後に歯茎や骨が付いてこない、再生しないためにできる隙間です。これを予防する有効な方法はなく、どうしても治したい場合は治療後に骨や歯茎の移植が必要ですが、そこまでして治す方はめったにいません。

ブラックトライアングルは比較的年齢が高い方が治療をすると生じやすいのですが、補綴物のの作り直し同様10~20代で治療した方にも見られる現象です。

基本的に歯茎や歯槽骨が健康な方でしたら何歳からでも治療は可能です。

ただし、上記のような問題が生じやすいことと、中高生に比べると歯の動きは少し遅いことがあります。

歯周病などの問題が懸念される場合は、治療目標を少し変えてあまり大きく歯を移動させないようにするなどして対応する場合もあります。

 

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Written by kiyomura

1月 8th, 2019 at 2:48 pm