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歯並びと癖の関係(2)
前回からの続きで、歯並びと癖のお話をしたいと思います。
前回、口腔習癖(口に関連する癖)のなかでも、よく知られている「指しゃぶり」の原因について説明しましたので、今回はその影響についての話です。
5歳以降まで継続した指しゃぶりは、不正咬合だけでなく咬合、嚥下(ものを飲み込むこと)、発音、呼吸などの口腔機能にも影響を生じることがあります。
指しゃぶりの影響
(1)歯列、咬合への影響
指しゃぶりによる影響は、もともとの骨格や筋肉の強さなどに加えて、吸引する指の種類、頻度、吸引の強さなどによって個人差があります。
したがって、指しゃぶりをする子どものすべてが不正咬合になるわけではありませんが、長期間続くほど歯並びや噛み合わせへの影響は大きくなります。
もっとも多くみられる親指の指しゃぶりは、親指の腹側が上顎の前歯と前歯が生えている骨の部分を圧迫し、背(爪)側は下顎前歯に接触します。
その結果、上の前歯は前又は上方に、下の前歯は内側に倒れるか下方に押されるため、上顎前突(出っ歯)や開咬といった不正咬合を引き起こします(下図)。

又、指を強く吸うタイプでは頬の筋肉が収縮することで上顎の横側の歯が内側に倒れて歯列がV字型になり、出っ歯や交叉咬合(下の奥歯のほうが上の奥歯より外側になって噛む状態)になることがあります(写真1、2)。
写真1 V字歯列

写真2 開咬と交叉咬合

(2)口元、側貌(横顔)への影響
出っ歯(上顎前突)や開咬になるとどうしても口が閉じづらくなるため、普段から口が空いた状態になりやすく、口呼吸をするようになります。口呼吸が習慣になると、唇の周りの筋肉が弛緩して、前歯は更に前に出て口元全体が突出し、唇自体も翻転(めくれ上がった状態)しやすくなります。
(3)皮膚への影響
指しゃぶりを続けていると、指にタコができ、口呼吸をしていると唇は乾燥したり、荒れたりします。

(4)機能への影響
開咬になると、様々な機能的な変化が起こります。?前歯でものを噛めないので、奥歯ばかりを使う。?口が閉じづらいため、食事の時くちゃくちゃ音をたてる。?正しくものが飲み込めないため、舌を前に突き出す異常嚥下癖となり、口の周りに食べ物が付着する?口呼吸が習慣になり、呼吸に邪魔な舌が下顎の歯列を圧迫する(低位舌)サ行、タ行などの発音が不明瞭になる など。
指しゃぶりが長く続くと、(1)のような形態変化がおきて、それが原因で(2、3,4)のような症状になります。特に(4)は、さらなる不正咬合や機能的な問題へと発展していくため、4〜5歳までには止められるようにしたいものです。
写真3,4は、指しゃぶりが原因とされる舌突出癖のある開咬のケースです。
写真3 舌突出癖1

写真4舌突出癖2

このように、普段から舌が下の前歯の上に乗っていて、さらに上の前歯を押すような状態ですと、指しゃぶりを行っているのと同じような力が歯やアゴにかかります。
舌突出癖の影響
指しゃぶりは、見ればやっているのがわかりますが、舌の癖は見ても気が付かないこと多いため余計に厄介です。
また、舌突出癖にもいろいろな種類があり、舌の位置や動かし方によって現れる不正咬合が異なります。
上の写真のケースは「前方突出開咬型」になりますが、舌が上の前歯ではなく下の前歯を押す場合「下顎突出型」といい、受け口や臼歯部交叉咬合の原因になります。
指しゃぶり同様、この癖があってもきれいな歯並びの人もいるので、必ず治さなければいけないものではありませんが、舌突出癖はみつけにくだけでなく習慣的に行っていることなので、治すのは難しく、様々な不正咬合の原因になることがあります。
歯磨きのコツ(3) 歯磨き粉の成分
歯を磨くときに歯磨き粉を使う一番の理由は、歯に付いた汚れを効率よく落とすためです。
上の歯磨きの成分表の中で、その役割を果たすのが清掃剤(研磨剤)です。
研磨剤というと、台所で使用するクレンザーを想像するかもしれませんが、一般的な歯磨き粉には歯を傷つけるほどの強力な研磨剤が入っているわけではありませんので心配要りません。
湿潤剤、発泡剤、粘結剤は清掃剤をうまくお口の中に行き渡らせるための成分で、香味剤は味や香りをよくすることで、歯磨きをしやすくする成分です。
前回お話したように、発泡剤が多すぎるとお口の中が泡だらけになり、かえって磨きにくくなったり、磨けたと錯覚して磨き残しが増えたりするので、お勧めしたいのは低発泡性の歯磨き粉です。
香味剤には一般的には清涼感のあるミントやメントールがよく使われますが、これもスッキリしすぎて磨けたと勘違いして磨き残しが起きる原因となりますので、あまり刺激が強いものはお勧めしません。
子供用歯磨き粉は、大人用の歯磨き粉と比較して成分が大きく違うわけではありません。
大人用の歯磨き粉が、ミントやメントールの香りが主流なのに対して、子供用は、歯磨きがしやすいよう刺激が少なく、
子どもが好むイチゴやブドウなど甘い味付けがしてあるだけです。ですから、大人の方でもミントが苦手な人は子供用を使っても問題はありません。
薬用成分とは、汚れを落とす歯磨き粉の基本的な成分にプラスして配合される薬剤で、フッ化ナトリウムなら歯を強くする、トラネキサム酸なら歯周病による出血の抑制といったような効能があります。
成分ではなく、形状で分類すると、次の4種類になります。
1)チューブタイプ
中身はペースト状、練り歯磨きとも呼ばれる。研磨剤、発泡剤などの成分配合でもっとも一般的なタイプで種類も豊富。
2)ジェルタイプ
とろみのある半透明のジェル状で、チューブ入りボトル入り両方あり。1)に配合される研磨剤の含有量が少なく、歯や歯茎に優しい。発泡剤無配合のものは電動歯ブラシでの使用に最適。
3)液体タイプ
マウスウォッシュ、洗口剤と呼ばれる。液体のため歯磨き粉と呼べるかは疑問。薬用成分は入っているので、炎症の抑制効果などはあるが、汚れを落とす効果はあまり期待できない。他の歯磨き粉と併用するか、どうしても歯を磨く時間がないときに使う程度がよい。
4)粉末タイプ
缶入りのものが多い。チューブタイプが発売される19世紀ごろまではこちらが主流だったため、ペースト状の歯磨剤(練り歯磨き)が主流になっても昔の名残りで「歯磨き粉」と呼ばれている。近年では無添加やオーガニック素材の歯磨き剤に利用されることが多い。

いかがでしたか?歯磨き粉にもいろいろな種類があること、種類によって効能や使用目的が違うことがおわかりいただけましたか?次回はあなたにあった歯磨き粉の選び方についてお話したいと思います。
歯磨きのコツ(3) 歯磨き粉の種類
前回から引き続いて「歯磨きのコツ」のお話をします。前回までは主に歯ブラシや歯の磨き方についての説明をしましたが、今回は歯磨き粉(歯磨剤)についてのお話です。
皆さんはどのような基準で歯磨き粉(歯磨剤)を買いますか?市販されている歯磨き粉はさまざまな種類があり、値段もいろいろですよね。
歯磨き粉には、入っている成分により大きく分けて2つに分類できます。
その違いとは薬用成分のことで、薬用成分が配合されていない歯磨き粉は化粧品に分類され、薬用成分が配合されている歯磨き粉は医薬部外品に分類され、一般的にその配合物の種類により金額が高くなります。
化粧品歯磨き粉とは、効率よく食べかすやプラーク(歯垢)を除去する虫歯予防、口臭予防、などが目的の歯磨き粉です。
医薬部外品(薬用)歯磨き粉とは、フッ素化合物や抗炎症剤など薬用成分が配合された歯磨き粉のことで、虫歯予防のほかに歯槽膿漏や歯肉炎の予防、知覚過敏の抑制などの効果が目的の歯磨き粉です。
以下に一般的な医薬部外品(薬用)歯磨き粉の成分表を示します。
※紛らわしいですが、「医薬部外品」と「薬用」はほぼ同じで「医薬品(病院で処方される薬)ではないけれどそれに準じた効能がある薬」という意味だそうです。
歯磨きのコツ (2)
新年明けましておめでとうございます。
年末年始はいかがお過ごしだったでしょうか?
風邪の予防に大事なのは、うがいと手洗い。虫歯や歯周病の予防は毎日の歯磨きです。
今回は前々回のに引き続いて「歯磨きのコツ」についてお話します。
前々回、歯磨きのコツとして「磨く歯の順番を決める」「歯をしっかり磨く」という2つのポイントについてご説明いたしました。
当たり前のことのようですが、意外と出来ていない方がいらっしゃいますので、もう一度出来ているかどうか確認してください。
歯ブラシの選び方
歯ブラシの持ち方、力の入れ具合については前回説明しましたが、より効果的に汚れを取るには歯ブラシの大きさや硬さも気になるところです。
大きな歯ブラシのメリットは広い面積を一度に清掃できることです。
手が思うように動かない高齢者の方などに推奨されます。
デメリットはお子さんや口の中が狭い方の場合、細かい部分が磨けないことです。
小さい歯ブラシは細かい部分を磨くのには適していますが、手をたくさん動かさないとすべての歯を磨けないため、清掃効率が悪く大きな歯ブラシを使った場合よりも磨き残しが起こりやすくなります。
したがって、無難なのは普通の大きさということになるのですが、ご自分が使いやすいものを選ぶのが一番良いと思います。
歯ブラシの硬さは、硬いほど清掃力、耐久性が高くなりますが、歯を傷つけやすくなります。
硬い歯ブラシでごしごし歯ぐきを磨きすぎると、歯茎が少しずつ裂けて歯根が露出してきます。歯根は他の歯よりも柔らかいので、さらに強く歯磨きをすると削れてしまします(下写真:楔状欠損)
このような症状は痛みを伴わないまま進行することもあり、歯磨きがしっかり出来ている方でも起こりますので、注意が必要です。
柔らかい歯ブラシは歯ぐきに炎症がある場合や、歯ブラシが歯茎にあたるのを痛がるお子さんなどには有用ですが、すぐに毛先が広がり耐久性が悪いのが欠点です。
柔らかい歯磨きで歯茎への刺激に慣れたら普通の硬さの歯ブラシに替えるといいでしょう。
ほとんどの方は普通の硬さの歯ブラシが適していると思われますが、磨く力が強めの方は少し柔らかめを選んでもいいかもしれません。

歯磨きのコツ(2)
矯正装置が付いている方の歯磨きは、そうでない方に比べ磨き残しが多くなりがちですので、
以前から説明しているように普通の歯ブラシプラスαが必要です。
普通の歯ブラシで全体を磨いた後、装置の周りは歯間ブラシやタフトブラシを使って磨くのが一番確実です(下写真:タフトブラシ)。


今回お話する歯磨きのコツの3番目は「時間をかけて磨く4番目は「考えながら磨く」です。
一昨年に行なわれた、あるリサーチ会社による「歯磨きに関する調査」の結果によると、歯磨きにかける時間の平均は3分弱、歯磨きの回数は「朝晩1日2回:約50%」「毎食後約20%」「朝のみ、晩のみ:それぞれ約10%」となっていました。
1回につき3分はしっかり磨くには時間が足りない気もします。せめて5分ぐらいは必要かなと感じますが、学校やお仕事が忙しい皆さんにとっては仕方がないことでしょう。
3分でも正しい方法なら、かなりしっかりと磨くことが出来ますが、何も考えずにただ歯ブラシをくわえているだけでは意味がありません。自分がどこを磨いていて、普段どこに磨き残しが多いか考えながら磨くことが重要です。
そして、もっとも重要な寝る前の歯磨きだけは、出来れば10分ぐらい時間をかけてじっくり丁寧に磨いて下さい。
長い時間磨くにも実はコツがあります。朝や昼など時間がないときは難しいかもしれませんが、じっくり磨くには座ってるほうが簡単です。
洗面台の前で立ったまま磨くのは鏡を見ながら磨けますし、溜まった唾液を吐くのには便利ですので悪くはありません。
もし、立ったままでも5分以上磨ける方はそれでも構いません。立ったままが大変だと思われる方は洗面所以外の居間や台所などで、歯磨き粉を付けずに磨くか、洗面所に椅子を用意して一度お試し下さい。
それから、歯磨き粉を付けすぎると、口の中が泡だらけになって長い時間歯を磨くことが出来ません。
ミントなどの味が強すぎると口の中がスースーして歯が磨けていると勘違いしやすいので、歯磨き粉のつけすぎや清涼感が強すぎる歯磨き粉にはご注意下さい。
どこを磨いているか意識しながら、寝る前は時間をかけて磨きましょう
よく「電動歯ブラシを使ったほうがいいでしょうか?」という質問を受けますが、電動歯ブラシのメリットは普通の歯ブラシに比べて磨く力が一定で、清掃能力が高いことです。
しかし、いくら性能がいい電動歯ブラシでも、正しく歯に届かなければ意味がありません。また、電動歯ブラシのヘッドは大きいものが多く、本体が重いために持ちづらいというデメリットも有るので細かい部分の歯磨きには向いていないように思います。
大事なのは歯ブラシが磨きたい場所に届いているかどうかということですので、普通の歯ブラシで正しい歯磨きが出来るようになってから、さらにしっかり磨きたい方にはお勧めです。
川口市の矯正歯科治療は、清村矯正歯科で
矯正治療中の歯磨きについて(2)
歯を磨くと出血する」の原因は?
ブラッシング不足により起きるトラブルとして、歯肉炎が起きることがあります。歯ぐきが脹れる(歯肉炎)と
矯正装置と歯ぐきが接触し、さらにブラッシングが不十分となり、炎症がひどくなるとブラッシングのたびに出血するようになります。
歯肉炎がひどくなると歯周炎となり、歯を支えている骨が徐々に無くなっていきます。特に下記の2ヶ所はブラッシング不足による歯肉炎と出血が起こりやすい部位です。
【奥歯の歯頚部】
ハブラシが届きにくいことと、 他の部位よりもやや大きい装置(チューブ)が付いているため磨き残しが起こりやすい。

【リンガル(裏側)矯正の前歯の歯頚部】
装置の構造上、歯ぐきと装置(ブラケット)までの距離 が近いためハブラシが届きにくい。

いくつマスターできていますか?
(ブラッシングチェックリスト)
1) ブラケットの周りを磨いている(写真①)
2) 歯頚部をしっかり磨いている
3)ハブラシの先を使っている(写真②)
4)ストローク(ハブラシを動かす距離)は小さく細かく動かしている
・適度な力(ブラシが少し曲がるぐらいの強さ)で磨いている(写真③)
・最後に磨き残しがないか、鏡でチェックしている



お子様が矯正治療中の保護者の方へ
寝ている間は唾液の分泌が減り、お口の中が乾燥しがちです(口をあけて寝ている場合は特に)。
お口の中が乾燥していると、細菌が繁殖しやすくなるため、寝る前のブラッシングは大変重要です。
お忙しいとは思いますが、磨き残しがないかどうか、できるだけ就寝前の歯磨きチェックをお願いいたします。
==埼玉県川口市の清村矯正歯科オフィシャルサイト==
www.2-koo.com
矯正治療に関するアンケートの結果①
今年の2月に、マルチブラケット装置により治療中の患者様を対象に「矯正治療実態アンケート」を行ないました。
このアンケートは、
「自分以外の矯正治療中の患者様が、日常どのように感じているのかがわかれば、これからの治療をより安心して受けていただけるではないか?」ということと、
「現在治療中の方々の実態がわかれば、これから矯正治療を希望している方の参考になるのではないか?」
という2つの理由から実施いたしました。
このような調査はサンプル数が多いほど客観性が増しますので、友人の矯正歯科医院の先生にも協力してもらい、
3医院合計で236名の方々にご記入いただきました。ご協力してくださった皆さん、どうもありがとうございました。
興味深いデータが出ていますので、今回はまず集計結果の報告だけを行い、
次回から各項目についてのコメントを掲載していきたいと思います。
矯正治療のご相談は、埼玉県川口市の清村矯正歯科まで
