Archive for the ‘矯正治療をもっと知りたい’ Category
不正咬合 まとめ①
みなさん。こんちには!株式会社Value Linkの野々村太郎です。
これまで6回にわたってインタビューを行ってきた「もっと知りたい矯正治療」ですが、今回はこれまでの総括をお願いしたいと思います。
これまで、不正咬合の種類と、その原因と治療法についてお話しました。不正咬合にはいろいろな種類がありますが、治療を開始する前に、どのような要因によって今の症状になっているかを見極めることが、治療を行う上でとても重要です。
下の図を見てください。横軸は前後の咬み合せのズレ、縦軸は上下のズレを表していて、中心の青い丸の部分は比較的問題が少なく、外に行くほど問題が大きいことを示しています。
オレンジの丸より外は外科手術が必要なほど大きな問題があるということになります。
 
写真のケースを図に当てはめると症例1は多少デコボコがあり、上の前歯が少し出ていますが、骨格的な問題は少ない比較的簡単なケース。
 (症例1)
 
症例2は、下のアゴが小さいために前歯の突出度が大きくやや難しいケース。
 (症例2)
 
症例3は上下の歯がかみ合っておらず(開咬)機能的な問題が疑われ、骨格的には受け口の傾向もあるかなり難しいケースにそれぞれ分類できます。
 (症例3)
 
また、ほとんどの不正咬合の原因は1つではなく、いくつかの要因によって成り立っています。
実際には前後、上下のズレ以外に左右のズレ(骨格的な問題)、デコボコの量や前歯の突出度(個々の歯の問題)、舌やアゴの動きなど(機能的な問題)の有無も考慮する必要があります。
 
いろいろな要因が重なればそれだけ治療は難しくなる傾向にあります。見た目がそれほどひどくなくても、治療期間がかかる難しいケースなどは、機能的な要因が強い場合によく見られます。抜歯をするかしないかの判断もこの3つの要因の重篤度を総合的に判断して決定しています。
 (次回に続く)
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不正咬合 まとめ②
みなさん。こんちには!
株式会社Value Linkの野々村太郎です。
前回に続いて「もっと知りたい矯正治療」のこれまでの総括をお願いしたいと思います。
 
 これまで、不正咬合の種類と、その原因と治療法についてお話しました。今までの話、特に成長期のお子様の治療について3つのポイントを挙げると、
1つ目は「子供の矯正治療は、今現在、気になる症状だけを治すのではなく、永久歯がすべて生えかわった時に正しい咬み合せになることを目標にする」ということです。
たとえば、前歯が少しデコボコしているのを治すのは比較的簡単ですが、その原因は歯とアゴの大きさのアンバランスです。このアンバランスを治さなければ永 久歯が生え揃ったときには、またでこぼこになったり、咬み合せに不調が出たりします。
受け口は、下アゴが身長の伸びる思春期に大きく成長しますので一度治っても、また悪くなる可能性があります。このような成長による変化を予測して、治療計画を立てることが重要になります。
 
2つ目は「治療開始時期と治療方針、装置の種類は人によって違う」ということです。「同じクラスの子はもうブラケットを付けているのに、うちの子はまだつけなくていいんですか?」というご質問をよく伺います。
矯正治療は歯の生え変わりや、アゴの発育状態、その人の症状などを考慮して、治療の開始時期を決める必要がありますので、一概に「何年生になったら始める」というわけにはいきません。
「○○ちゃんは取り外しのできる装置で治していましたが、うちの子もそれでやってください。」というような話もよく伺いますが、残念ながら不正咬合を治療する装置はその人の症状によって選択されるべきものです。ご要望にはお答えしたいのですが、出来る場合と出来ない場合があります。
1人1人の症状を引き起こしている原因は1つではありません。矯正治療を成功させるには、複雑に絡み合った不正咬合の原因を正確に診断し、最適な時期に適切な装置を選択することが必要です。
3つ目は、「骨格的な問題や機能的な問題は早期の治療のほうが良い」ということです。
混合歯列期の成長を利用することで、将来、手術しなければいけない骨格的な原因による不正咬合を防ぐことができたり、歯並びに悪影響のある癖を治すこと大人になってからの矯正治療を簡単にすることが出来ます。永久歯が生え揃うのを待ってから治療を始めたほうが、トータルの治療期間は短くてすみますが、それでは現在の症状がどんどん悪くなってしまい、ブラケットを付けた本格的な治療が大変になることもあります。
 
以上で、「もっと知りたい矯正治療(2)不正咬合の種類とその原因、治療方法」は終了です。
次回からはまた新しいテーマで矯正治療についてお話を伺って生きたいと思いますのでよろしくお願いします。
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不正咬合の種類について(10)
矯正治療をもっと知りたい vol.11
不正咬合の種類について 交叉咬合・埋伏歯

 
 N:私自身、あまり自分の歯の本数を気にしたことがありませんが、気付かないという方もいらっしゃるのではないですか?
K:子供のパノラマレントゲンを取ることはほとんど無いので、見落としてしまっている場合があるのでしょう。
N:なるほど、そういうこともあるのですね。なかなか永久歯が生えてこなくて心配なら、矯正歯科の先生に診てもらったほうが安心ですね。
これまで5回に分けていろいろな不正咬合について伺ってきましたが、これ以外にも種類がありますか?
K:そうですね、交差咬合に似ているのでが、上下の歯がすれ違いに噛んでいる鋏状咬合とか、叢生とは逆に歯の大きさに比べてアゴが大きいために起こる空隙歯列や正中離開、いわゆる「すきっぱ」などがあります。
 
N:不正咬合といってもほんとにいろいろな種類があるんですね。清村先生、今回もありがとうございました。
K:ありがとうございました。
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不正咬合の種類について(9)
矯正治療をもっと知りたい vol.10
不正咬合の種類について 交叉咬合・埋伏歯



N:さて、もうひとつの「埋伏歯」についても教えて頂けますか?
K:はい。埋伏歯とは、歯が歯茎(又は骨)の中に埋まってしまっている状態のことです。皆さんが良くご存知な「親知らず」が最も埋伏歯になりやすい歯になります。
昔に比べてアゴが小さくなってきた現代人は、最後に生えてくる第3大臼歯の生えるスペースが足りなくて、多くの人が大人になって、抜かなくてはならないわけですが、矯正治療が必要になるのは親知らず以外の歯が埋伏してしまうケースですね。
 原因は様々ですし、わからないこともあります。たとえば永久歯がまだアゴの中にあるときに、顔や口をぶつけてしまったことによる衝撃が原因だったり、乳歯がむし歯になって早く抜けてしまった結果、隣の歯が動いて本来生える永久歯のスペースがなくなったことが原因になったりします。
N:埋伏している場合、どのような治療を行うのですか? 
K:ほとんどの場合、埋伏歯が生えてくるスペースがありませんので、まず、アゴの骨を広げたり、他の歯を動かしたりして埋伏歯が出てくるスペースを作ります。そして、その歯を引っ張り出すための装置を周りの歯やアゴに装着して、外科的な処置で埋伏歯に金具を付けてその装置から牽引していきます。
 
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不正咬合の種類について(8)
矯正治療をもっと知りたい vol.9
不正咬合の種類について 交叉咬合・埋伏歯
みなさん。こんちには!株式会社Value Linkの野々村太郎です。
 前号までは、前後や上下のズレという分け方で、不正咬合について清村先生にお伺いしましたが、今回はそれ以外の不正咬合について聞いてみたいと思います。
 野々村(以下N)、 清村先生(以下K)
N:これまでに説明していただいた不正咬合以外に、どのような種類があるのですか?
K:はい。代表的なものに「交叉咬合」と「埋伏歯」と呼ばれるものがあります。まず、「交叉咬合」とは、噛み合わせが左右にずれていて、下の奥歯が上の奥歯の外側にある状態です。(図1)

N:左は下の歯が外(頬)側に出ているのに、右は上の歯が外(頬)側に出ていて、雑巾を絞ったように左右の歯がねじれているようですね。何となく素人目にも健康状良くないというのは分かりますが、どのようなことを引き起こすのですか?
K:本来、左右の歯は同じように咬まなければいけませんが、左右違う位置で咬んでいるので、特定の歯や関節に負荷がかかります。その状態が続けば、片方の歯やアゴの
 関節が磨り減り、だんだんアゴがずれてきて顔が歪んでしまいます。
N:なるほど。交叉咬合になる原因は、やはり遺伝によるものですか?
K:もともと骨格的に上下の幅が合っていないという遺伝的な原因の場合もありますが、後天的に発生する場合のほうが多いように思います。
例えば、右側の奥歯が虫歯になると、右を避けて左でばかり咬もうとしますね。これを何年も続けていると、その咬み合せにあわせてアゴが成長していくのでアゴは左にずれていきます。
また、普段の姿勢や寝ているとき態勢、頬杖などの癖によって交叉咬合になることもあります。
N:頬杖が原因で顎が曲がってしまうこともあるのですね!?(驚)
では、治療はどうやって行いますか?
K:大人の場合は、歯の移動だけではアゴの変形は治せませんので手術が必要になります。
子供の場合は、成長によって症状が悪化するのを予防するの第一ですので、原因を除去することが重要です。
先述のように、頬杖が原因なら、頬杖の癖を止めさせることが一番です、次に、上アゴを拡大するなどして、正しく噛めるように上下のアゴの幅を合わせていきます。
N:癖を取るのも矯正治の一環なのですね。そして、症状がひどくなって将来手術にならないように、子供のうちに治療に取り掛かるべきですね。
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不正咬合の種類について(7)
矯正治療をもっと知りたい vol.8
不正咬合の種類について 過蓋咬合・開咬
成長期の治療と予防が成功のポイント
開咬の場合、後ろから生えてくる奥歯や親知らずによって症状が悪化する人もいいるため、治療期間も長くかかることが多く、 成人の方で症状がひどい場合は手術が必要になることもあります。
開咬は一般的に他の症状に比べ治療が難しい不正咬合ですので、とにかく骨格的な問題でも舌の癖でも原因を出来るだけ早く取り除くか、影響を少なくしてあげることが治療を成功させるポイントになります。
したがって、過蓋咬合、開咬ともに骨格の成長を利用する治療が効果的であること、開始時期が遅くなるほど治療が難しくなる傾向があるという理由で早期治療をお勧めしています。
N:「過蓋咬合」も「開咬」も「反対咬合」や「叢生」のように見てすぐわかる不正咬合ではないので見落としがちですが、こちらのほうが実は治療が難しいようですね。勉強になりました。清村先生、今回もありがとうございました。
K:ありがとうございました。
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不正咬合の種類について(6)
矯正治療をもっと知りたい vol.7
不正咬合の種類について 過蓋咬合・開咬
口呼吸が開咬を引き起こす原因のひとつ
開咬では、前歯で麺類や野菜などが噛めないので、奥歯だけ他の歯に比べてダメージを受けやすくなります。又、上下の前歯が触れないので発音にも悪い影響を与えます。
N:では、過蓋咬合と開咬になる原因は何ですか?
K:過蓋咬合になる原因は、先天的な骨格や筋肉に由来することが多いようです。よく美容室などで顔の形を卵形、逆三角形などに分類していますが、この咬み合せの方は咬筋というアゴの筋肉が発達していて、エラや頬骨が横に張ったホームベース型の顔つきの人に多く見られます。
後天的な原因は奥歯が虫歯や歯周病で早くに抜けたり、抜いたりすることで起こりやすくなります。開咬になる原因も、先天的な骨格や筋肉に由来することがあり、先ほどの顔の形でいうと面長の人はなりやすい傾向があります。また、子供の頃からの癖が原因で後天的な理由で開咬になる方もみられます。
N:具体的にはどのような癖ですか?
K:指しゃぶりや舌や唇に関する癖です。上下の歯の間にいつも舌を突き出す
癖のことを「舌突出癖」といい、これが開咬の直接的な原因になります。また、花粉症などの鼻疾患で口呼吸が癖になるといつも口がポカンと開いてしまい唇の筋肉が弱くなり、さらに、口から空気を吸おうとするので、舌が正常な位置より下にいくようになります(低位舌)。この唇と舌の影響で正しく食べ物を噛んだり飲み込んだりすることができなくなり(異常嚥下癖)、次第に開咬に変化していくケースがよく見られます。
N:なるほど。やはり癖が歯並びに影響するのですね。それではどのようにして治療をするのですか?
K:「過蓋咬合」の場合、成長期を理由した骨格的なアプローチとして、バイトプレート(写真③)、バイオネーター、ヘッドギアなどを使用します。このような装置はまだ成長が残っていて永久歯がすべて生え揃っていない方に有効です。また、歯の移動によるアプローチとして上の前歯4本のみにブラケットを装着してユーティリティアーチ(写真④)というワイヤーを使った治療をします。

(写真③)

(写真④)
開咬の場合、舌癖を治すためにMFT(筋機能訓練)を行い、習癖除去装置(写真⑤)などを使います。
(写真⑤)


ただし、一度ついてしまった癖を治すのは簡単ではありませんので、毎日気をつけて地道に治す努力が必要になります。癖が治らないとせっかく治っても元に戻ってしまうことが多いのが開咬の特徴です。
また、骨格的な問題の改善のためにヘッドギア、トランスパラタルアーチ(写真⑥)などを使います。これも、成長や癖の影響によって症状がひどくなるのを予防する目的で成長期のお子さんによく使用します。
(写真⑥)

大人の場合、マルチループ(写真⑦)という複雑なワイヤーと上下のワイヤーに輪ゴムを掛ける方法や、臼歯を圧下するために矯正用インプラントを利用したりすることもあります。

(写真⑦)
 
N:治療は、子供のときからすべきですか?
K:過蓋咬合の場合、上下の歯が強く当たるので、歯が磨り減り易く、そのままにしておくと更に噛み合わせが深くなります。また、顎関節への影響を考えると下アゴが大きく成長する思春期前に治しておかないと顎関節症がひどくなる可能性があります。
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不正咬合の種類について(5)
矯正治療をもっと知りたい vol.6
正咬合の種類について 過蓋咬合・開咬
 こんにちは。Value Linkの野々村太郎です。連載でお送りしている「清村先生へインタビュー」今回は「過蓋咬合(かがいこうごう)」と「開咬(かいこう)」について聞いてみたいと思います。
野々村(以下N):今回は「過蓋咬合」と「開咬」について教えて下さい。宜しくお願い致します。
清村先生(以下K):宜しくお願いします。
N:まず、「過蓋咬合」と「開咬」とは、どのような状態なのか教えていただけますか?
K:はい。前回、前々回と「出っ歯」や「受け口」についてお話ししましたが、これらは上下のアゴ、前歯の位置関係が前後にズレた状態です。「過蓋咬合」と「開咬」は、この位置関係が上下にズレた状態の不正咬合です。
過蓋咬合は下の歯が見えないほど、上の歯が覆いかぶさっている深い咬み合せです。

逆に開咬は、奥歯は噛み合っているのに前歯が噛み合わない浅い咬み合せです。

N:そのような歯並びの場合どのような弊害がありますか?
K:過蓋咬合の場合下の歯が、上の歯ではなく上アゴの歯ぐきと噛んでいるので、歯や歯ぐきを痛めたり、下アゴの動きが制限されて、関節に力がかかりすぎて顎関節症を招いたりすることがあります。
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不正咬合の種類について(4)
矯正治療をもっと知りたい vol.5
不正咬合の種類について 上顎前突
皆さま、こんにちは。
株式会社Value Linkの野々村です。
今回は、出っ歯(上顎前突)について清村先生に聞いてみたいと思います。
野々村(以下N): 清村先生、今日は「いわゆる出っ歯」についてお聞きしたいと思います。よろしくお願い致します。
先生:よろしくお願い致します。
あまりいい表現ではありませんが「出っ歯」は、専門的には上顎前突といい、上の前歯が、下の前歯よりも極端に前に出ている状態のことをいいます。
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| [ 写真① ] | [ 写真② ] | 
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| [ 写真③ ] | [ 写真④ ] | 
写真を見ていただくとわかると思いますが、前歯が出ていることで、口が閉じづらくなるので、普通にしていても唇が前に突き出ていて、見た目があまりよくありません。
この「いわゆる出っ歯」を治したいという理由で矯正治療を始める方は、「反対咬合」「叢生」の次に多く、その割合が昔に比べて増加傾向にあるようです。
指しゃぶりや頬杖が症状を悪くする
N:見た目が良くない以外に何か不都合なことはありますか?
先生:上顎前突の場合、外傷を受けた場合に唇を傷つけたり、前歯が欠けたり折れてしまう危険性が高くなります。また、前歯で食べ物を噛みづらいので、奥歯でばかりものを噛むようになるので、アゴの関節や奥歯に負担がかかりやすくなります。極端に前歯が出ている人はサ行の発音に影響が出ることもありますね。
N:この上顎前突の原因は何ですか?
先生:上顎前突には骨格に問題があるタイプとないタイプに分類することができます。骨格的に問題があるタイプは、やはり遺伝的な要素が関係していることが多いように思います。受け口(反対咬合)の回に説明したように親子で顔が似ているのと同じ理由ですね。ただし、遺伝的に問題がなくても、下のあごの成長を阻害する癖や習慣が長期間続くと、骨格的な問題を引き起こすことがあります。
N:具体的にはどのような癖と習慣ですか?
先生:最もわかりやすいのは指しゃぶりです。
小学校入学までに止めらていればあまり問題にはなりませんが、永久歯が生えてからも続けていると、上の前歯が外(唇側)に出て、下の歯が内(舌側)に倒れてしまい、その後の歯並びに大きな影響を与えます。一度このような出っ歯の状態になると、癖を止めても上下の前歯の隙間に下唇が入ってしまい、今度は唇を噛む癖「咬唇癖」(写真⑤)を引き起こしてしまいます。
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| [ 写真⑤ ] | 
出っ歯というと、上の前歯が出ている状態をイメージすると思いますが、下のアゴの成長が悪いために相対的に上の前歯が出た状態でも上顎前突に分類されます。
 写真①、②の方はこの状態にあります。上の前歯の位置は少し出ているだけなのに、下アゴの成長が不足しているために上顎前突の状態です。このように下アゴの成長を阻害する癖、習慣として挙げられるのが「うつぶせ寝」「頬杖」です。どちらも下アゴを後ろへ押し付けることになるため、成長期にこの習慣が続くとせっかく下アゴが前に成長しようとしているのを邪魔してしまいます。
N:なるほど、いろいろな癖や習慣によって症状がさらに悪くなることがあるわけですね。
先生:そうです。高校生以上の年齢の患者さんで、前歯が極端に出ている人をみると、もう少し早く来てくれていればここまでひどくならなかったのになぁと思うことがあります。
N:次に治療方法について伺います。やはり骨格に問題があるタイプとそうでないタイプでは治療方法が違うのですか?
先生:はい、上アゴが大きく、前に出ているタイプの場合はそれ以上、上アゴが前に成長しないようにヘッドギアーという装置を使います(図①)。この装置は奥歯を後ろに移動することも出来るので、骨格に問題がない上顎前突でも使用することがあります。逆に下アゴが小さいタイプの場合はマウスピースのような装置(ファンクショナルアプライアンス)を使います(写真⑥)。どちらも取り外し可能ですが、毎日決められた時間、数か月~1、2年使うことで効果が出てきます。
このような装置を使ってもなお、前歯が出ている重い症状の人、成長が終わって永久歯がすべて生えかわっている人の場合は、前歯を後ろに引っ込めるためにやむを終えず永久歯(小臼歯)を抜歯して、すべての歯にブラケットを付けて歯を移動する本格的な矯正治療で症状を改善します(下図②参照)。
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| [ 図① ] | [ 写真⑥ ] | 
どのような装置を使うかはその人の症状次第
[ 図② ]
N:骨格の問題や、癖、習慣を治すにはやはりこどもの頃から治療を始めた方が、良さそうですね。
先生:その通りです。
症状を悪化させないためにも、適切な時期からの早期治療が大切ですね。
N:今日の話も大変勉強になりました。
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不正咬合の種類について(3)
矯正治療をもっと知りたい vol.4
不正咬合の種類について 叢生
皆さま、こんにちは。株式会社Value Linkの野々村です。
前回のニュースレターでは、“不正咬合の種類 叢生” について、お聞きしました。
今回は、“不正咬合の種類②叢生(そうせい)の続き” について清村先生に聞いてみました。
 野々村(以下N): 叢生の場合、具体的にどのような装置を使いますか?
先生: はい、下の写真①はアゴの幅を広げる装置でで、取り外しができるタイプのものです。これ以外にもいろいろなタイプがありますが、このような装置でまずアゴの幅を広げて歯が並ぶスペースを確保してから、今度は「ブラケット」という金具を歯に接着して細い針金を調整してデコボコを治していきます(写真②、③、④)。
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| [ 写真① 拡大装置 ] | [ 写真② ] | 
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| [ 写真③ ] | [ 写真④ ] | 

このケースはまだ乳歯が残っているお子さんですが、永久歯がすべて生え揃っている場合はこの装置をすべての歯に接着して治していきます(写真⑤)
 
  
N:次に、この叢生の原因についておたずねします。昔の人と比べてやわらかいものばかり食べているから、アゴの発育が悪くなっているのでしょうか?
むし歯予防で叢生の予防になることも・・・

先生:うーん・・・そのような影響もあるのかもしれませんが、だからといって硬いものばかり食べ ていれば、アゴが大きくなるというわけでもないので、それだけが原因ではないと思います。以前お話したように歯の大きさやアゴの大きさは遺伝します。もともと歯が大きいご両親のお子さんの歯は、やはり大きいですから、遺伝的要素の影響は強いと思います。それから、むし歯で早期に乳歯が抜けてしまうことも叢生の原因のひとつですね。下の写真を見てください。
 
少し見づらいかもしれませんが、一番うしろに見えているのは6歳臼歯です。左側は乳歯が2本抜けてしまっていますね。
左側の6歳臼歯はこのままだと矢印の方向に移動してしまいます。そうすると本来乳歯が抜けた後に生える予定の永久歯(小臼歯)の生える場所が無くなって左側はひどい叢生になってしまいます。
N:なるほど。むし歯をそのままにしておくと歯並びが悪くなる原因になるわけですか・・・では、治療はいつから始めればいいでしょうか?
先生:そうですね。デコボコの程度やその人の歯の生え変わりの早さにもよりますが、できれば永久歯が生え揃う前、永久歯の前歯が生えてきた頃がいいですね。
この時期にレントゲンを撮影して、いつ永久歯が生えてくるか、骨格に異常がないかなどがわかっていたほうが、将来的に歯を抜かないで治療できる可能性が高くなりますし、もし、すぐに治療が必要でなくても、一番いいタイミングで治療を開始することができるようになりますからね。
N:なるほど。では、叢生はどのような方法で治療しますか?
先生:そうですね。歯並びが悪くなる原因は、歯やアゴの大きさなどが遺伝する先天的なものと、成長過程や生活習慣などの後天的なものと、大きく2つに分けられます。
N:そうですか。検査を受けておけば、治療にベストなタイミングがわかるわけですね。今回もいろいろ勉強になりました。
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