口腔機能発達不全症とは
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■ ニュースアプリの記事から
皆さんスマホで「ニュースアプリ」を利用されることがありますか?ニュースアプリの記事は「レコメンド機能」というものがあり、利用者が興味ありそうな記事が多く掲載されます。私の場合は仕事柄、医療関係の記事を目にすることが多いのですが、今回はその中から矯正治療に関係するものをご紹介したいと思います。長文ですので要約してから解説したいと思います。
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【「リコーダーがふけない」子供が急増中…”音楽のセンス”でも”手先の器用さ”でもない 放置NGの医学的理由】
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■ 口腔機能発達不全症とは
中学2年生のお子さんがリコーダーをうまく吹けないことを心配した母親がいた。手先の不器用さや音楽センスの無さが原因と思っていたが、実は口腔機能の未発達がその理由であった。
この状態を成長期に放置すると、早期に「口腔機能発達不全症」になる可能性がある。この疾患は「食べる」「話す」「呼吸する」といった、人間が生きるために必要な基礎的な口腔機能が年齢相応に育っていない状態のことである。
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■ 口腔機能発達不全症の原因
近年、口腔機能発達不全症の子供が増加している原因として考えられるのが以下の3つのライフスタイルの変化:
① 「食の軟弱化」
② 「スマホやゲームによる姿勢の悪化」
③ 「マスクの常態化」
具体的には、①ハンバーグやパスタなど、あまり噛まずに食べられ、飲み込むのも容易な食事や、おやつを常食することで、昔の人に比べ現代人は食べるために必要な筋肉や顎の発育が悪くなっている。②スマホを見る時間が長くなったことで姿勢が悪くなり(ストレートネック)、その影響で下顎の位置や気道の形態に変化が起き、口呼吸を助長している。③マスクによって口元が隠れることで、表情筋や口腔周囲の筋肉を使う機会が減少している。
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■ 放置すると起こりうる6つの問題
①ハンバーガー問題:出っ歯(上顎前突)や開咬といった不正咬合になりやすく、前歯で物を噛めないのでハンバーガーやサンドイッチなどをうまく食べられなくなる。
②クチャラー問題:唇を閉じる筋肉が弱くなるため、口を閉じて食事ができずクチャクチャと他人が不快な音(咀嚼音)を立てるようになる。
③滑舌問題:発音に関与する舌の筋肉が低下して、うまく動かせないため、ものを飲み込むだけでなく発音・滑舌が悪くなる。
④感染症にかかりやすくなる:口呼吸が常態化すると、正常な鼻呼吸により鼻腔内のフィルターを通過して空気を吸い込むよりダイレクトに外気がのどに入るため、風邪などの感染症の罹患率が高くなる。
⑤睡眠の質が低下:口呼吸や顎・舌の発育不全により上気道(鼻の奥の空気の通り道)が狭小化して、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因になる。
⑥集中力低下:口呼吸は、鼻呼吸に比べて血中酸素取り込み量が10〜18%程度少なくなるため、低酸素状態となり、集中力の低下や運動時のスタミナ切れ、姿勢の悪化を誘発する。
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■ 口腔機能発達不全症チェックリスト
① 風船やシャボン玉を力強く膨らませられない
② テレビを見ている時、常に口が開いている
③ 硬いもの(お肉や根菜)を避け、柔らかいものを好む
④ 食事中に水や汁物をよく飲む
⑤ 食べ物を噛んでいる時に「クチャクチャ」音がする
⑥ 発音が不明瞭で、特に「サ行」や「ラ行」が苦手(舌足らず=構音障害)
⑦ 朝起きた時、喉を痛がる(就寝中の口呼吸)
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■ 今日からできる3つの対策
① 全力5秒うがい
② ボタンを使ったトレーニング
③ ベロを鍛えるベロまわし
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■ 清村院長からのコメント
私自身、開業当初からこのような症状のある患者さんが一定数存在するとは感じていました。患者さんが座る椅子の横には、お口をゆすぐための小さな洗面台がありますが、ここにうまく水を吐き出せずに床や椅子にこぼしてしまうお子さんが時々いらっしゃいます。これはお子さんがわざとやっていたり、保護者の方がやり方を教えていないのではなく、この「口腔機能発達不全症」なのかなと思います。
「上顎前突(出っ歯)」や「開咬」といった不正咬合の方の多くは口腔周囲筋や舌の使い方に問題があります。これらを治さなければ矯正治療がうまくいかないこともあるため、当医院では大人でも子供でも、歯並びに影響を及ぼす悪習癖がある方には「筋機能訓練(MFT)」という、舌の動かし方や水の飲み方、唇を鍛える訓練など患者さんに必要な方法を教えて、自宅でトレーニングしてもらっています。
ご自宅でも比較的簡単にできるトレーニングとしてお勧めは、記事にもあったように「ブクブクうがい」です。風邪予防でのどを使ってやるのが「ガラガラうがい」で、「ブクブクうがい」は唇の裏側や頬っぺたの裏側に水を含んで、「ブクブク」と音を立ててお口の周りの筋肉を動かします。「Youtube」などで「ブクブクうがい」と検索すると動画が見つかると思います。このトレーニングのいいところは、歯の表面(唇側・頬側)の汚れが水圧できれいになるところです。
もう一つお勧めしたいのは「風船を膨らませる」です。風船を膨らませるためにはまず、鼻から息を吸い込んで口腔内に空気をためてから吹き込む必要があり、これが口腔周囲筋の良いトレーニングになります。
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