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よくある質問Q&A 大人の矯正治療(2)

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Q2マルチブラケット装置での治療期間はどれぐらいですか?
混合歯列期の治療は、患者さんの成長、歯の生え変わりの時期が様々なので、治療開始前に治療期間を推測するのが非常に困難です。以前にも話したように、マルチブラケット装置での治療は基本的には永久歯がすべて生え変わってから開始するので、治療期間は歯の移動にどの程度期間がかかるか推測するだけですので、混合歯列期の治療に比べると治療期間の予測が比較的簡単です。
初診時に、患者さんの症状を見る場合、お口の中と顔をみて、まず不正咬合の分類をします。皆さんが気になるのはデコボコがたくさんあるとか、歯が前に出っ張っているとかの「個々の歯の位置の異常」ですが、治療する側からみると、まず気になるのは全体のかみ合わせの方です(図1、2、3)。
上顎前突(いわゆる出っ歯)のかみ合わせなのか、下顎前突(受け口)なのか?開咬の傾向なのか過蓋咬合の傾向にあるのか?左右のずれはないか?つまり不正咬合を横から見た場合、前後、上下のアゴの位置関係と正面から見た場合の左右の位置関係から、かみ合わせと骨格の特徴をみつけます。同じようなお口の中の状態でも、この位置関係のずれが大きい程治療の難易度が上がり、治療期間が長くなります。大きすぎる場合は外科矯正が必要になります(最終的な判断は精密検査が必要)。
図1 上顎前突(出っ歯)、下顎が小さく後退した骨格
図2 かみ合わせは出っ歯だが、骨格は下顎が前突した骨格
図3 アゴが左に大きくずれている左右非対称の骨格。改善には手術が必要。
次に、個々の歯の位置をみて、先ほどのかみ合わせのずれと、歯並びを治すのにどれぐらい期間がかかりそうか、抜歯が必要かマルチブラケット装置以外の装置が必要かどうかなどを推測します。
図4 奥歯を後ろに動かす装置。抜歯を避けたり、抜歯だけでは改善できないデコボコがある場合にマルチブラケット装置を付ける前に使用。
デコボコの程度がひどかったり、出っ歯や受け口などで前歯の移動量が多い程、治療期間が長くなります。     複数の症状が組み合わさっている場合も治療が難しくなります(図4、5a、5b、6a、6b)。
図5a 叢生と上顎前突のケース
図5b 上顎前突と叢生、横から見たところ。開咬でも過蓋咬合でもないため治療は比較的簡単。
図6a 上顎前突と開咬と叢生の症状があるケース
図6a 図5のケースに比べると出っ歯の量は少ないが開咬の症状があるため、治療はかなり難しく時間がかかる
また、治療方法や使用する装置も治療期間に影響します。症状によっては歯を抜かずに治療するために無理をして拡大装置などを使用するより抜歯をした方が早く簡単に治る場合もあります。同じ症状であれば、裏側からの(リンガルブラケット)治療は表側からの治療に比べて治療期間は長くなります。
このように治療期間を推測するには色々な要素を考慮する必要がありますが、抜歯が必要なく、かなり簡単なケースで1年半ぐらい。色々な症状が組み合わさったケースや骨格的、機能的に問題があるケースでは3年以上の治療期間がかかります。抜歯、非抜歯を問わず、平均的と思われる症状では大体2年〜3年以内で終わるケースが50%ぐらいですので、一般的な症状で治療期間は2年半ぐらいと説明しています。
精密検査後の説明では、患者さんの歯並びの状態、骨格の特徴、機能的な問題の有無などから、さらに詳しい治療計画を考え、その方法で治す場合の治療期間をこれまでの治療経験から推測してお話しています。しかしながら、治療を開始してみないとわからない未確定の要素があるため、正確に予測することは治療経験が多くなった現在でも困難です。治療前に未確定な要素には以下のようなものがあります。
(1)歯の移動の早さ
(2)舌や唇、咬む力の影響
(3)かみ合わせ、顎関節の変化
(4)顎間ゴムのなどの使用状況
次回はこの未確定な要素について説明したいと思います。

Q2マルチブラケット装置での治療期間はどれぐらいですか?

混合歯列期の治療は、患者さんの成長、歯の生え変わりの時期が様々なので、治療開始前に治療期間を推測するのが非常に困難です。
以前にも話したように、マルチブラケット装置での治療は基本的には永久歯がすべて生え変わってから開始するので、治療期間は歯の移動にどの程度期間がかかるか推測するだけですので、混合歯列期の治療に比べると治療期間の予測が比較的簡単です。
初診時に、患者さんの症状を見る場合、お口の中と顔をみて、まず不正咬合の分類をします。
皆さんが気になるのはデコボコがたくさんあるとか、歯が前に出っ張っているとかの「個々の歯の位置の異常」ですが、治療する側からみると、まず気になるのは全体のかみ合わせの方です(図1、2、3)。
上顎前突(いわゆる出っ歯)のかみ合わせなのか?
下顎前突(受け口)なのか?
開咬の傾向なのか過蓋咬合の傾向にあるのか?
左右のずれはないか?
つまり不正咬合を横から見た場合、前後、上下のアゴの位置関係と正面から見た場合の左右の位置関係から、かみ合わせと骨格の特徴をみつけます。
同じようなお口の中の状態でも、この位置関係のずれが大きい程治療の難易度が上がり、治療期間が長くなります。
大きすぎる場合は外科矯正が必要になります(最終的な判断は精密検査が必要)。

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図1 上顎前突(出っ歯)、下顎が小さく後退した骨格

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図2 かみ合わせは出っ歯だが、骨格は下顎が前突した骨格

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図3 アゴが左に大きくずれている左右非対称の骨格。改善には手術が必要。
次に、個々の歯の位置をみて、先ほどのかみ合わせのずれと、歯並びを治すのにどれぐらい期間がかかりそうか、抜歯が必要かマルチブラケット装置以外の装置が必要かどうかなどを推測します。
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図4 奥歯を後ろに動かす装置。抜歯を避けたり、抜歯だけでは改善できないデコボコがある場合にマルチブラケット装置を付ける前に使用。
デコボコの程度がひどかったり、出っ歯や受け口などで前歯の移動量が多い程、治療期間が長くなります。
複数の症状が組み合わさっている場合も治療が難しくなります(図4、5a、5b、6a、6b)。
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図5a 叢生と上顎前突のケース

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図5b 上顎前突と叢生、横から見たところ。開咬でも過蓋咬合でもないため治療は比較的簡単。

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図6a 上顎前突と開咬と叢生の症状があるケース

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図6b 図5のケースに比べると出っ歯の量は少ないが開咬の症状があるため、治療はかなり難しく時間がかかる
また、治療方法や使用する装置も治療期間に影響します。症状によっては歯を抜かずに治療するために無理をして拡大装置などを使用するより抜歯をした方が早く簡単に治る場合もあります。
同じ症状であれば、裏側からの(リンガルブラケット)治療は表側からの治療に比べて治療期間は長くなります。
このように治療期間を推測するには色々な要素を考慮する必要がありますが、抜歯が必要なく、かなり簡単なケースで1年半ぐらい。
色々な症状が組み合わさったケースや骨格的、機能的に問題があるケースでは3年以上の治療期間がかかります。
抜歯、非抜歯を問わず、平均的と思われる症状では大体2年〜3年以内で終わるケースが50%ぐらいですので、一般的な症状で治療期間は2年半ぐらいと説明しています。
精密検査後の説明では、患者さんの歯並びの状態、骨格の特徴、機能的な問題の有無などから、さらに詳しい治療計画を考え、その方法で治す場合の治療期間をこれまでの治療経験から推測してお話しています。
しかしながら、治療を開始してみないとわからない未確定の要素があるため、正確に予測することは治療経験が多くなった現在でも困難です。
治療前に未確定な要素には以下のようなものがあります。
(1)歯の移動の早さ
(2)舌や唇、咬む力の影響
(3)かみ合わせ、顎関節の変化
(4)顎間ゴムのなどの使用状況
次回はこの未確定な要素について説明したいと思います。

Written by kiyomura

7月 10th, 2018 at 2:15 pm

よくある質問Q&A 子供の矯正治療(4)

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Q7.取り外しのできる装置だけで治療は可能ですか?
こどもの矯正治療で使う装置には、自分で取り外しができる装置と固定式の装置があります。以前にもお話ししたように、装置は患者さんの症状に応じて選択しますので、全てのお子さんが同じ装置で治療するわけではありません。また、取り外しができる装置の中にも食事の時以外、常に付けておくものと、夜間だけ使用するものがあります(図1、2)。お口の中に固定装置を入れて、そこに取り外しのできる別の装置をひっかけるものもあります(図3、4)。
図1拡大床装置:24時間使用
図2バイオネーター:夜間のみ使用
図3ヘッドギア:家庭内のみで使用
図4プロトラクター:家庭内のみで使用
これらの装置は、顎を広げたり前後のかみ合わせを治すなど、比較的大きな変化をもたらすために使用するので、細かな歯並びに問題がある場合は、取り外しのできる装置の後で、固定式の装置が必要になることがあります(図5)。
図5部分的なブラケット装置
また、子供の治療の場合一つだけの装置で治ることはむしろ少なく、複数の装置を使うケースが多くなります。
最近よく広告などで見られる取り外し可能な装置「いわゆるマウスピース矯正」というものがあります(図6)。これはすべて永久歯になった成人用の装置ですので、子供の治療には使えません。
図6マウスピース型の矯正装置
ここに紹介した以外にも矯正装置には様々な種類があり、ネット上の広告や記事などで、色々な断片的な情報を得る機会も多いため、取り外しの装置だけで治るのものだと勘違いする方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようなケースは、割合としてはかなり少ないと思います。
さらに、誤解を招く例としては、お知り合いの方から「取り外しができる装置だけで治った」という話をお聞きになった場合、それは「(すべての歯並びがきれいに)治った」のではなく、「(気になっていた受け口が)治った」「(前歯のでこぼこが)治った」だけという可能性があります。永久歯全てがきれいに並んだのを確認できるのは、早くても小学校高学年、平均的には中学生になってからです。
Q8.矯正装置を付けるときの子供への負担が心配です。
ご両親や親しいお知り合いなどに、矯正治療の経験者がいない場合、小学生以下のお子さんが矯正治療を受けるのが、どれくらい負担になるかご心配になるのは当然のことと思います。使う装置の種類にもよりますが、一般的に考えられる治療中の負担は?装置の違和感?装置の接触による舌や頬などの痛み?歯や顎の移動、変化による痛み、などが挙げられます。
?についてはほとんどの装置を付けた場合起こりうることです。いままで何もなかったお口の中に、針金や入れ歯のようなものが入るわけですから、大人、子供にかかわらず何かしらの違和感は生まれます。初めのうちは発音がしづらくなるかもしれません。取り外し可能な装置の場合は食事の時にはずせるので、食べる際の違和感はありませんが、逆にいちいち取り外すことがお子様にとっては煩わしく負担になる可能性があります。ただ、治療を受けた患者さんに尋ねると、ほとんどの人が1か月過ぎるとあまり気にならなくなるようです。
?についても同様で、初めは痛くて気になっていた人も、徐々に粘膜が固くなるので、1か月を過ぎたあたりからは慣れてくるようです。ただし、初期の痛みがなくなっても装置が壊れてしまったり、歯の位置やかみ合わせが変わることで、新たに痛みが出ることもあります。そのような場合は装置を調整して改善することもできますので、おかしいと感じたときは来院されることをおすすめします。
?については使用する装置によって感じ方が違うようです。図1〜4の装置は、すごく痛かったというお子さんはほとんどいませんが、図5の装置については、初めは痛かったという人が時々います。通常このような痛みは3〜4日でおさまるので、その期間だけはある程度我慢していただかなければなりません。どうしても痛い場合は痛み止めを飲んでも構いませんが、そのようなケースは稀です。
???共通に言えることは、違和感や痛みは感じ方の個人差が大きく、また、ご本人の性格的なものも関与するものなので、術者も保護者の方もお子様にどのように説明すればいいか難しいところです。もし、治療前に不安がある場合は治療中の方や治療をしたことのあるお知り合いの方などに、どんな感じだったか訊いてみるのが一番いいと思います

Q7.取り外しのできる装置だけで治療は可能ですか?

こどもの矯正治療で使う装置には、自分で取り外しができる装置と固定式の装置があります。
以前にもお話ししたように、装置は患者さんの症状に応じて選択しますので、全てのお子さんが同じ装置で治療するわけではありません。
また、取り外しができる装置の中にも食事の時以外、常に付けておくものと、夜間だけ使用するものがあります(図1、2)。
お口の中に固定装置を入れて、そこに取り外しのできる別の装置をひっかけるものもあります(図3、4)。

図1拡大床装置:24時間使用

図2バイオネーター:夜間のみ使用

図3ヘッドギア:家庭内のみで使用

図4プロトラクター:家庭内のみで使用
これらの装置は、顎を広げたり前後のかみ合わせを治すなど、比較的大きな変化をもたらすために使用するので、細かな歯並びに問題がある場合は、取り外しのできる装置の後で、固定式の装置が必要になることがあります(図5)。

図5部分的なブラケット装置
また、子供の治療の場合一つだけの装置で治ることはむしろ少なく、複数の装置を使うケースが多くなります。
最近よく広告などで見られる取り外し可能な装置「いわゆるマウスピース矯正」というものがあります(図6)。
これはすべて永久歯になった成人用の装置ですので、子供の治療には使えません。

図6マウスピース型の矯正装置
ここに紹介した以外にも矯正装置には様々な種類があり、ネット上の広告や記事などで、色々な断片的な情報を得る機会も多いため、取り外しの装置だけで治るのものだと勘違いする方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようなケースは、割合としてはかなり少ないと思います。
さらに、誤解を招く例としては、お知り合いの方から「取り外しができる装置だけで治った」という話をお聞きになった場合、それは「(すべての歯並びがきれいに)治った」のではなく、「(気になっていた受け口が)治った」「(前歯のでこぼこが)治った」だけという可能性があります。
永久歯全てがきれいに並んだのを確認できるのは、早くても小学校高学年、平均的には中学生になってからです。

Q8.矯正装置を付けるときの子供への負担が心配です。

ご両親や親しいお知り合いなどに、矯正治療の経験者がいない場合、小学生以下のお子さんが矯正治療を受けるのが、どれくらい負担になるかご心配になるのは当然のことと思います。
使う装置の種類にもよりますが、一般的に考えられる治療中の負担は
?装置の違和感
?装置の接触による舌や頬などの痛み
?歯や顎の移動、変化による痛み、
などが挙げられます。
?についてはほとんどの装置を付けた場合起こりうることです。
いままで何もなかったお口の中に、針金や入れ歯のようなものが入るわけですから、大人、子供にかかわらず何かしらの違和感は生まれます。
初めのうちは発音がしづらくなるかもしれません。
取り外し可能な装置の場合は食事の時にはずせるので、食べる際の違和感はありませんが、逆にいちいち取り外すことがお子様にとっては煩わしく負担になる可能性があります。
ただ、治療を受けた患者さんに尋ねると、ほとんどの人が1か月過ぎるとあまり気にならなくなるようです。
?についても同様で、初めは痛くて気になっていた人も、徐々に粘膜が固くなるので、1か月を過ぎたあたりからは慣れてくるようです。
ただし、初期の痛みがなくなっても装置が壊れてしまったり、歯の位置やかみ合わせが変わることで、新たに痛みが出ることもあります。
そのような場合は装置を調整して改善することもできますので、おかしいと感じたときは来院されることをおすすめします。
?については使用する装置によって感じ方が違うようです。
図1〜4の装置は、すごく痛かったというお子さんはほとんどいませんが、図5の装置については、初めは痛かったという人が時々います。
通常このような痛みは3〜4日でおさまるので、その期間だけはある程度我慢していただかなければなりません。
どうしても痛い場合は痛み止めを飲んでも構いませんが、そのようなケースは稀です。
???共通に言えることは、違和感や痛みは感じ方の個人差が大きく、また、ご本人の性格的なものも関与するものなので、術者も保護者の方もお子様にどのように説明すればいいか難しいところです。
もし、治療前に不安がある場合は治療中の方や治療をしたことのあるお知り合いの方などに、どんな感じだったか訊いてみるのが一番いいと思います。

よくある質問Q&A 子供の矯正治療(2)

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前回のつづきで、これまでに初診相談やメール相談でよく質問されたことについてお答えします。
Q3.矯正治療が必要かどうかよくわかりません。
初診相談時に、ご本人や保護者の方が「前歯が逆になっている」「全体的に歯がデコボコに並んでいる」など、はっきりとした治したい症状、主訴がある場合が多いのですが、中には「歯科検診や他の歯科医院で指摘されたが、どこが悪いのかはっきりわからない」「今は気になるところはないが将来的にどうなるか不安」といった理由でご相談にいらっしゃる方もいます。
お子さん自身が「歯並びを治したい」とはっきり意志表示することはあまり多くありませんので、保護者の方が歯並びについてどう考えていらっしゃるかが、矯正治療の必要性に大きく関与します。
学校歯科検診では、担当する先生によって判断が大きく違わないように不正咬合のガイドラインがあります。たとえば反対咬合(受け口)であれば「前歯が2本以上が逆にかんでいる」上顎前突(出っ歯)は「上の前歯が下の前歯に対して7〜8mm以上出ている」と、いった具合です。したがって、学校検診で指摘を受けた場合は、たとえ保護者の方が気にならなくても、高い確率で治療が必要な症状があるはずです。
就学前や小学校低学年のお子様で多いのが将来どうなるか心配で相談にいらっしゃる方です。通常小学校に入る前に下の乳前歯が抜けて永久歯が生えてきますが、その時点で歯がデコボコになっているのに気が付くことが多いようですが、このような場合は受け口や交叉咬合といった症状がなければすぐに治療を始める必要はありません。
上はまだ乳歯、この時点では治療せず
1年後、この段階から治療開始
の前歯も生え変わるころから治療を開始しても十分間に合いますし、お子さんにとってもそのほうが負担が少ないように思います。
子供の矯正治療の必要性について矯正医としては「最終的に永久歯がすべて生えそろった時にできるだけ理想に近い咬合にするために、混合歯列期のほうが改善しやすい症状(骨格や悪習癖、かみ合わせのずれなど)は早く治しておきたい」と考えます。また、すぐに治療を始める必要がなくても、しばらく経過を追っていくことで、わかってくること(歯の生え方や、かみ合わせの異常、癖など)もあります。保護者の方が矯正治療の必要性について判断できないのは当然ですので、「よくわからないけど歯並びが心配」という場合は一度矯正医に相談していただくのが一番だと思います。
Q4.歯科医院によって治療方針が違うので、どうすればよいかわからない。
矯正治療を始める際に、複数の歯科医院に相談に訪れる方もいらっしゃいます。複数の先生の意見をきいてどこで治療を始めるか検討することは悪いことではありません。大人と比べ治療期間が長くなるお子様の治療は、治療前によく考えて、納得してから始めるほうが治療中の不安も少なくなるかもしれません。
「A歯科医院では取り外し式装置を使うといわれたが、B歯科医院では固定式の装置を使うといわれた」「C歯科医院ではすぐ始めるといわれたがD歯科医院ではもう少し待つようにいわれた」など、患者さんの立場からすればどれが正しいのかわからず困ってしまうかもしれません。しかしながら、「どのような装置を使うか」「いつからはじめるか」という問題は一般的な考えから大きくずれていなければどれでも正解と思います。先ほどの例のように、まだ永久歯がほとんど生えてないのに治療を始めるのは「?」ですが、適切な開始時期を逃さないために早めに準備をしておくために、少し早くから治療を始めたいという先生もいるかもしれませんので、開始時期が多少違っているのはどちらも間違いではないと思います。使用する装置についても、術者の好みやこれまでの経験などで選択が違うことはよくあるので、効果が同じ装置の場合は取り外し式でも固定式でも正解と思います。どこで治療をはじめても同じだとは言いませんが、いろいろ治療方法をきいて、もっとも納得できたところではじめればいいと思います。
一つだけ注意してもらいたいのは、相談した先生に矯正治療の経験が十分にあるかどうか、大学病院等の矯正歯科で研修を受けていて専門的な知識があるかどうかいう点です。患者さんがこのことを確認するのは困難ですから、診療科目が「矯正歯科のみ」の矯正歯科専門の歯科医院ならまず間違いありません。それ以外の歯科医院では担当医に「日本矯正歯科学会の認定医」の資格があることが一つの目安になります。
※それ以外の先生が全くダメというわけではありませんが・・・。

前回のつづきで、これまでに初診相談やメール相談でよく質問されたことについてお答えします。
Q3.矯正治療が必要かどうかよくわかりません。
初診相談時に、ご本人や保護者の方が「前歯が逆になっている」「全体的に歯がデコボコに並んでいる」など、はっきりとした治したい症状、主訴がある場合が多いのですが、中には「歯科検診や他の歯科医院で指摘されたが、どこが悪いのかはっきりわからない」「今は気になるところはないが将来的にどうなるか不安」といった理由でご相談にいらっしゃる方もいます。
お子さん自身が「歯並びを治したい」とはっきり意志表示することはあまり多くありませんので、保護者の方が歯並びについてどう考えていらっしゃるかが、矯正治療の必要性に大きく関与します。
学校歯科検診では、担当する先生によって判断が大きく違わないように不正咬合のガイドラインがあります。
たとえば、
反対咬合(受け口)であれば「前歯が2本以上が逆にかんでいる」、上顎前突(出っ歯)は「上の前歯が下の前歯に対して7〜8mm以上出ている」と、いった具合です。
したがって、学校検診で指摘を受けた場合は、たとえ保護者の方が気にならなくても、高い確率で治療が必要な症状があるはずです。
就学前や小学校低学年のお子様で多いのが将来どうなるか心配で相談にいらっしゃる方です。
通常小学校に入る前に下の乳前歯が抜けて永久歯が生えてきますが、その時点で歯がデコボコになっているのに気が付くことが多いようですが、このような場合は受け口や交叉咬合といった症状がなければすぐに治療を始める必要はありません。
001002
上はまだ乳歯、この時点では治療せず
003004
1年後、この段階から治療開始
上の前歯も生え変わるころから治療を開始しても十分間に合いますし、お子さんにとってもそのほうが負担が少ないように思います。
子供の矯正治療の必要性について矯正医としては「最終的に永久歯がすべて生えそろった時にできるだけ理想に近い咬合にするために、混合歯列期のほうが改善しやすい症状(骨格や悪習癖、かみ合わせのずれなど)は早く治しておきたい」と考えます。
また、すぐに治療を始める必要がなくても、しばらく経過を追っていくことで、わかってくること(歯の生え方や、かみ合わせの異常、癖など)もあります。保護者の方が矯正治療の必要性について判断できないのは当然ですので、「よくわからないけど歯並びが心配」という場合は一度矯正医に相談していただくのが一番だと思います。
Q4.歯科医院によって治療方針が違うので、どうすればよいかわからない。
矯正治療を始める際に、複数の歯科医院に相談に訪れる方もいらっしゃいます。複数の先生の意見をきいてどこで治療を始めるか検討することは悪いことではありません。
大人と比べ治療期間が長くなるお子様の治療は、治療前によく考えて、納得してから始めるほうが治療中の不安も少なくなるかもしれません。
「A歯科医院では取り外し式装置を使うといわれたが、B歯科医院では固定式の装置を使うといわれた」
「C歯科医院ではすぐ始めるといわれたがD歯科医院ではもう少し待つようにいわれた」
など、患者さんの立場からすればどれが正しいのかわからず困ってしまうかもしれません。
しかしながら、「どのような装置を使うか」「いつからはじめるか」という問題は一般的な考えから大きくずれていなければどれでも正解と思います。
先ほどの例のように、まだ永久歯がほとんど生えてないのに治療を始めるのは「?」ですが、適切な開始時期を逃さないために早めに準備をしておくために、少し早くから治療を始めたいという先生もいるかもしれませんので、開始時期が多少違っているのはどちらも間違いではないと思います。
使用する装置についても、術者の好みやこれまでの経験などで選択が違うことはよくあるので、効果が同じ装置の場合は取り外し式でも固定式でも正解と思います。
どこで治療をはじめても同じだとは言いませんが、いろいろ治療方法をきいて、もっとも納得できたところではじめればいいと思います。
一つだけ注意してもらいたいのは、相談した先生に矯正治療の経験が十分にあるかどうか、大学病院等の矯正歯科で研修を受けていて専門的な知識があるかどうかいう点です。
患者さんがこのことを確認するのは困難ですから、診療科目が「矯正歯科のみ」の矯正歯科専門の歯科医院ならまず間違いありません。
それ以外の歯科医院では担当医に「日本矯正歯科学会の認定医」の資格があることが一つの目安になります。※それ以外の先生が全くダメというわけではありませんが・・・。

正しい嚥下と誤った嚥下(2)

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前回説明した「正しい嚥下」のポイントをまとめると以下の5つになります。
1) 舌の先がスポットについている(図1)
2) 唇は閉じてリラックスしている

3) 奥歯は噛んだ状態
4) 舌の先から真ん中、後ろへと徐々に上顎の裏(口蓋)を吸い上げる
5) 舌後方部(奥の部分)が軟口蓋(ノドの奥)と接触する
4)、5)は自分で認識するのが少し難しいかもしれませんが、1)、2)、3)はすぐに確認できると思います。食事の時に口の周りが汚れやすい人は、鼻呼吸が苦手なために口が開いていたり、物を飲み込む時に舌が前に出ていることが原因なので、要注意です。
逆に飲み込む時に唇や周りの筋肉が緊張している人は、舌の圧力で食べ物が飛び出ないようにしていることが原因の可能性があります。奥歯を噛みしめずに飲み込んでいる人は多くの場合、上下の歯の隙間に舌が入り込んでいるためと思われます。これらの習慣は以前お話ししたように上顎前突や開咬などの不正咬合の原因となります。
001
図(1)スポット(切歯乳頭後方部)

正しい嚥下ができない原因
1)〜5)の条件を満たした状態で物を飲み込むことが「正しい嚥下」になるので、トレーニングを行っていくのですが、どうしてもできない場合もあります。口呼吸をする人の中には、鼻やのどの病気(アレルギー性鼻炎、扁桃肥大など)が原因のことが多く、症状がひどければ鼻での呼吸ができないので、耳鼻科での治療を先に行う必要があります。また、舌小帯(舌の下にある筋 図?)がもともと短い舌小帯短縮症の場合、舌が口蓋まで持ち上がらないため、切除が必要になります。舌が上に持ち上がらない人は発音にも影響が出ます。
上記のような問題がなくても、舌の力が極端に弱かったり、舌を思うように動かせない人には、まずはじめに舌を動かすためのトレーニングが必要になります(ベーシックエクササイズ)。また、指しゃぶりや鉛筆を噛むなどの癖がある人は、トレーニングを始める前に止めるようにします。症状によっては、顎を広げたり前歯を並べるなどの矯正治療を先に行う場合もあります。
002
図(2)舌小帯
1)ベーシックトレーニング
004
舌を動かすトレーニングです。これらの動きができない場合は、正しい嚥下ができないため、まずこの運動から始めます。嚥下に問題がある人は?や?の動きが苦手の人が多いです。舌の先だけでなく舌の真ん中を意識的に動かすことが難しいようです。
初めはできなくても毎日練習すればほとんどの人はできるようになります。
2)レッスンの内容
003
ベーシックトレーニングができるようになったら、正しい舌の位置を覚えること、そして正しく嚥下するための舌の動かし方を覚えます。
ポッピング、オープンアンドクローズ、タングドラッグなどの運動は、嚥下に問題がある人が普段使っていない舌の筋肉を鍛える運動です。<参考文献> 舌のトレーニング/わかば出版株式会社

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正しい嚥下と誤った嚥下(1)

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不正咬合と嚥下の関係

● 嚥下とは

食事を摂るとき、食物を認識して噛みくだき(咀嚼:そしゃく)、飲み込みやすくして、口の中(口腔)から咽頭へ食物を送り込みます。 その後咽頭から食道、食道から胃へと食物を送り込みます。 この、一連の流れを(摂食・嚥下いい、嚥下:えんげとは、ものを飲み込み胃に送ることを示します。

● 不正咬合と嚥下の関係

小児を対象にした嚥下時の舌圧を計測した研究結果では、その力は大体400g/cm2ほどだったそうです。また、指しゃぶりをする小児の口蓋前方部(上アゴの前歯の裏側辺り)にかかる指による圧力は3〜4kg/ cm2ほどだったそうです。
ちなみに、矯正治療でエッジワイズ装置を使って前歯を後方に移動させるときの最適な力は、1歯に対して数十gと言われていますので、舌の力は矯正装置の力と同じかそれ以上に強いわけです。
別の研究によると、嚥下運動の回数は1日約600回で、平常時が2〜3分に1回、食事時が15〜20秒に1回くらいとされています。1日でこれだけ多くの回数、舌や頬、顎の筋肉を動かすわけですから、それが誤った方法で行われ続ければ、歯並びや顎の骨の形態に影響を与えることは容易に想像できると思います。

小児嚥下と成人嚥下


(1)乳児(型)嚥下

人が生まれて初めておこなう栄養摂取は哺乳 (おっぱいを飲むこと)です。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中はこの哺乳を行うために適した形になっています。また、哺乳のため、哺乳反射(赤ちゃんが口に入ってきたものを反射的に吸う行動)という機能が備わっています。この哺乳反射により、主として舌の動きによって連続した乳汁摂取(おっぱいを飲み続ける)がなされます。この頃の嚥下は、
1.口を大きく開けたま
2.口腔内の奥まで乳首を引き込み
3.舌を前後に動かすことで嚥下する「乳児嚥下」とよばれる動きです。

(2)乳児嚥下から成人嚥下へ

乳児期に特徴的な口腔内の形態は、成長とともに著しく変化し、やがて消えていきます。また、下顔面の成長とともに咽頭腔(のどと声帯の周辺)が拡大し、喉頭の位置も下がっていくため、嚥下の動きは乳児嚥下から成人嚥下へと変化していきます。このような機能面の成長発達に伴い、また、大脳の発達と共に、反射による動きから、随意運動による「成人嚥下」の機能を獲得していきます。

(3)成人(型)嚥下

成人嚥下とは1.口唇を閉じ2.咀嚼や舌の動きによる食塊形成ができ、3.舌を口蓋(上顎の裏)に付けて4.上下の歯がかみ合った状態でものを飲み込む動きをいいます。
「誤った嚥下」では、唇は閉じていても、乳児嚥下のように歯と歯の間に舌が突き出ており、十分に舌が持ち上がっていません。また、飲み込むたびに前歯に舌の圧力がかかっています。

Written by kiyomura

4月 16th, 2015 at 2:02 pm

歯並びと癖の関係(5−1)

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●鼻呼吸の確認と練習

前回、口呼吸によるいろいろな影響について説明しましたが、今回は日常的に口呼吸なのか鼻呼吸なのかの確認と、鼻呼吸の練習法について説明します。

1)鼻呼吸の確認
まず、鼻の疾患や呼吸障害がないことを確認します。何か問題がある場合は正しく確認できないためそれらの問題、症状の治療を行う必要があります。鼻や呼吸器に問題がないことが確認できたら、鼻の穴の下、上唇の上に小さな手鏡を当てて普段通りに呼吸してみます。鏡が曇れば鼻で呼吸ができていることになります。左右両方の穴から同様に空気が出ているほうがよいのですが、どちらか片方だけの場合もあります。
鏡が曇らない、又は短時間(1分以下)しか鼻から呼吸ができない場合は鼻呼吸の練習が必要と判断します。
2)鼻呼吸の練習法
食事以外のリラックスしている時間に1日数回、鼻呼吸の練習をします。時間を計りながら少しずつ鼻呼吸の持続時間を延ばしていきます。トレーニングをするときのポイントは?背筋を伸ばして胸をはる(空気が吸い込みやすくなります。)?舌は上顎にくっつけて、歯に触れない(正しい舌の位置を覚えるため。この位置に舌があると口呼吸はやりづらい)?唇を閉じたままで少しだけ下顎を前進させる(咽喉が広がり空気が通りやすくなる。)
また、普段から口呼吸の方はノドが腫れやすいので、帰宅したら必ずうがいをしてください。ある程度鼻呼吸ができるようになったら、ゴム風船を使うのも良いトレーニングになります。口に風船を咥えたまま、鼻だけで空気を吸って風船を膨らますと、口を閉じる筋肉も鍛えられます。

●舌突出癖の発音への影響

1)発音障害の問題点
発音(構音)障害とは、話し言葉の中のあるきまった音を正しく発音できずに習慣化した状態をいいます。発音障害の問題点は、コミュニケーションに支障をきたしてしまうことです。特に子供の場合、自分の意志が伝えにくくなったり、何度も聞き返されたりすることで心理的に悪影響がおこる可能性が考えられます。
2)発音障害の原因
発音障害は、不正咬合による歯列やかみ合わせの問題だけでなく、耳鼻咽頭疾患に関連する口腔内の形態・構造的問題、咀嚼・嚥下時の口唇や舌の運動パターンの異常など、様々な要因が複雑に重複して生じると考えられています。    したがって、発音障害を治すために不正咬合を改善することは必要ですが、矯正治療をすれば必ず発音も良くなるわけではありません。

●舌突出癖の発音への影響

3)日本語の発音について
発音障害を考えるために、まずは日本語の発音のしくみについて少し説明します。日本語の音は母音と子音が組み合わさった「音節(ひらがな一文字で表される音)からできています。したがって、発音の良し悪しは母音、子音どちらに問題があるのか両面から評価する必要があります。
母音は、発音時の舌の位置とアゴの開口量、によって5種類(ア、イ、ウ、エ、オ)に分けられます。下図1は母音発音時の下の位置と唇の形を表したものです。
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図1 日本語の母音
子音は、構音(音をつくりだす)する位置と方法によって分類されます。構音位置には?唇で発音する両唇音(パ、バ、マ行、フ、ワ)?上の歯又は歯ぐきと舌尖で発音する歯音・歯茎音(タ、ダ、サ、ザ、ラ、ナ行、ツ)?歯茎音よりやや後方で発音する歯茎硬口蓋音(シャ、チャ、ジャ、ニャ行)?硬口蓋の後方で発音する硬口蓋音(ヒャ、ヤ行)などの種類があります。構音方法には?声道(口唇から咽頭までの空間)を一時的に閉鎖・開放して出る破裂音(パ、タ、カ行など)?声道の一部を狭めることで摩擦つくる摩擦音(サ、シャ、ハ行など)?破裂につづいて摩擦することで出る破擦音(ザ、チャ、ジャ行など)などに分類できます。
舌突出癖のある方で、口呼吸が常態化していると唇の力が弱くなり両唇音(パ、バ、マ行)が不明瞭になります(構音位置の誤り)。また、舌を上に持ち上げるのが苦手なために本来は、舌先を上に持ち上げて歯や歯茎を使って発音する歯茎音(サ、タ行など)が、日頃の習慣で上下の前歯の間に舌尖がでて歯間化音(英語の/th/のような音)になることがあります。そして、このように舌がしっかり動いていない発音は一般的に「赤ちゃんのことば」のような印象を与えます。

Written by kiyomura

10月 2nd, 2014 at 11:34 am

歯並びと癖の関係(4)

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口呼吸の原因と影響

前回からは舌突出癖の原因と影響についてお話ししましたが、今回は口呼吸について説明します。

1)口呼吸の原因

胎児は母親のお腹の中では呼吸をしておらず、生まれると同時に肺呼吸を始めます。新生児は哺乳中、鼻呼吸で睡眠中も鼻で息をしています。生後6ヶ月頃からアー、ウーなど発語するようになり、これが口で意識的に息を吐く最初の行動といわれています。
通常、鼻での呼吸が困難になると、代わりに口を開けて息をするようになります。鼻呼吸が困難になる原因は鼻閉(鼻づまり)です。
生後6ヶ月、母親からもらった免疫効果が失われて発語が始まるころから、乳児は様々な病気にかかりやすくなるといわれていますが、風邪はそのもっと初期的、一般的なものです。
風邪をひくと鼻の粘膜が腫れて鼻呼吸が困難になり口呼吸になります。風邪をひいて、それが治ることを繰り返すことで、鼻閉時に口呼吸をすることを覚えていきます。
風邪以外に鼻閉又は鼻呼吸障害を起こす病気にはアデノイド、扁桃肥大、アレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲など、色々ありますが、もっとも一般的で頻度が高いのが、アデノイド肥大と(口蓋)扁桃肥大です。
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※アデノイドや口蓋扁桃が肥大すると気道が狭くなるので、鼻だけでなく口からも空気を取り入れようとするため口呼吸が習慣化しやすい。
鼻呼吸障害による口呼吸は成人でも同じように起こりますが、まだ未発達で、自分の意志で長時間口を閉じ、鼻で息をするのが困難な乳幼児や小児の場合、口で息をするのに慣れてしまうと、鼻閉が治っても鼻呼吸をせずに普段から口呼吸になってしまうことがあり(口呼吸の習慣化)このような場合、歯並びだけではなく、顎顔面形態、心肺機能、精神身体発育にも影響を及ぼすという報告もあるようです。
また、何らかの理由で前歯が生え変わるころ、永久歯が外側に傾斜し、いわゆる「出っ歯」や「上下顎前突」になることで、口が閉じずづらくなり、その結果鼻呼吸が可能なのに口呼吸が習慣化してしまう場合もあります。
2)鼻呼吸と口呼吸の違い
私たちが普段吸い込む空気には様々な雑菌(病原菌)が含まれていますが、鼻呼吸では病原菌の50〜80%は鼻の粘膜に吸着し処理されます。
冬の冷たく乾いた空気も鼻腔(鼻の奥の空間)で暖められ、湿度を含んだ状態で喉(のど)まで到達します。加湿が十分だと肺にある肺胞粘膜から酸素がスムーズに吸収でき、身体にも十分な酸素が供給されるので免疫力も向上するといわれています。
一方、口呼吸では口から吸入した空気は、そのまま喉まで入ってしまい、喉の粘膜が様々な病原菌に無防備にさらされることになります。
喉には、温度、湿度の調節機能がないので、外気を吸い込んだ時とほぼ同じ状態の空気が喉へ到達するため、喉を乾燥させたり、冷やしたりして、リンパ組織に損傷を与えることになります。
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また、空気が鼻を通らないと、鼻腔は汚れが停滞してしまい、鼻粘膜が炎症を起こして肥厚するため、鼻の通りが悪くなり、その結果酸素が吸収されにくい環境になります。

3)口呼吸と食事

鼻呼吸が出来ず口で呼吸しながら食事をすると、物を噛んだり、飲み込んだりする食べ物の処理と、呼吸が協調せず、むせやすくなったり、口を開けているので、くちゃくちゃと音がしたり、食べ物が口の周りに付いたりしやすくなります。

4)口呼吸の歯周組織への影響

口呼吸が習慣化すると、常に口が開いているので口の中が乾燥し、食べ物や飲み物によるやプラークの石灰化が起こりやすくなります。
プラークの石灰化とは、食べかすが歯にこびりついて固くなった状態のことで、通常の歯磨きでは落としきれない頑固な汚れのことです。
この状態が続くと、歯磨きをしっかり行っても汚れが取れず、色素沈着や口臭の原因になるだけでなく、炎症が治りにくくなりため、歯肉炎が慢性化して歯肉の肥大や角化が起こります。
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口呼吸が原因と思われる歯肉の肥厚

※歯はきれいに磨けているが歯肉は腫れているように見える
また、口呼吸が原因で舌の位置が下がり、常に舌で下顎前歯を押すようになったり(低位舌)、飲み物や食べ物を飲み込むたびに舌で前歯を押す癖(異常嚥下癖、舌突出癖)がついたりすると、歯を支えている歯周組織が弱り、歯周病を誘発します。
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低位舌、舌突出癖
※上下の歯の隙間から舌が見える。普段から舌で前歯押している様子が伺える

歯並びと癖の関係(2)

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前回からの続きで、歯並びと癖のお話をしたいと思います。

前回、口腔習癖(口に関連する癖)のなかでも、よく知られている「指しゃぶり」の原因について説明しましたので、今回はその影響についての話です。
5歳以降まで継続した指しゃぶりは、不正咬合だけでなく咬合、嚥下(ものを飲み込むこと)、発音、呼吸などの口腔機能にも影響を生じることがあります。

指しゃぶりの影響

(1)歯列、咬合への影響
指しゃぶりによる影響は、もともとの骨格や筋肉の強さなどに加えて、吸引する指の種類、頻度、吸引の強さなどによって個人差があります。
したがって、指しゃぶりをする子どものすべてが不正咬合になるわけではありませんが、長期間続くほど歯並びや噛み合わせへの影響は大きくなります。
もっとも多くみられる親指の指しゃぶりは、親指の腹側が上顎の前歯と前歯が生えている骨の部分を圧迫し、背(爪)側は下顎前歯に接触します。
その結果、上の前歯は前又は上方に、下の前歯は内側に倒れるか下方に押されるため、上顎前突(出っ歯)や開咬といった不正咬合を引き起こします(下図)。
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又、指を強く吸うタイプでは頬の筋肉が収縮することで上顎の横側の歯が内側に倒れて歯列がV字型になり、出っ歯や交叉咬合(下の奥歯のほうが上の奥歯より外側になって噛む状態)になることがあります(写真1、2)。
写真1 V字歯列
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写真2 開咬と交叉咬合
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(2)口元、側貌(横顔)への影響
出っ歯(上顎前突)や開咬になるとどうしても口が閉じづらくなるため、普段から口が空いた状態になりやすく、口呼吸をするようになります。口呼吸が習慣になると、唇の周りの筋肉が弛緩して、前歯は更に前に出て口元全体が突出し、唇自体も翻転(めくれ上がった状態)しやすくなります。
(3)皮膚への影響
指しゃぶりを続けていると、指にタコができ、口呼吸をしていると唇は乾燥したり、荒れたりします。
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(4)機能への影響
開咬になると、様々な機能的な変化が起こります。?前歯でものを噛めないので、奥歯ばかりを使う。?口が閉じづらいため、食事の時くちゃくちゃ音をたてる。?正しくものが飲み込めないため、舌を前に突き出す異常嚥下癖となり、口の周りに食べ物が付着する?口呼吸が習慣になり、呼吸に邪魔な舌が下顎の歯列を圧迫する(低位舌)?サ行、タ行などの発音が不明瞭になる など。
指しゃぶりが長く続くと、(1)のような形態変化がおきて、それが原因で(2、3,4)のような症状になります。特に(4)は、さらなる不正咬合や機能的な問題へと発展していくため、4〜5歳までには止められるようにしたいものです。
写真3,4は、指しゃぶりが原因とされる舌突出癖のある開咬のケースです。
写真3 舌突出癖1
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写真4舌突出癖2
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このように、普段から舌が下の前歯の上に乗っていて、さらに上の前歯を押すような状態ですと、指しゃぶりを行っているのと同じような力が歯やアゴにかかります。

舌突出癖の影響

指しゃぶりは、見ればやっているのがわかりますが、舌の癖は見ても気が付かないこと多いため余計に厄介です。
また、舌突出癖にもいろいろな種類があり、舌の位置や動かし方によって現れる不正咬合が異なります。
上の写真のケースは「前方突出開咬型」になりますが、舌が上の前歯ではなく下の前歯を押す場合「下顎突出型」といい、受け口や臼歯部交叉咬合の原因になります。
指しゃぶり同様、この癖があってもきれいな歯並びの人もいるので、必ず治さなければいけないものではありませんが、舌突出癖はみつけにくだけでなく習慣的に行っていることなので、治すのは難しく、様々な不正咬合の原因になることがあります。

Written by kiyomura

1月 10th, 2014 at 11:13 am

歯磨きのコツ(3)  歯磨き粉の成分

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歯を磨くときに歯磨き粉を使う一番の理由は、歯に付いた汚れを効率よく落とすためです。
上の歯磨きの成分表の中で、その役割を果たすのが清掃剤(研磨剤)です。
研磨剤というと、台所で使用するクレンザーを想像するかもしれませんが、一般的な歯磨き粉には歯を傷つけるほどの強力な研磨剤が入っているわけではありませんので心配要りません。
湿潤剤、発泡剤、粘結剤は清掃剤をうまくお口の中に行き渡らせるための成分で、香味剤は味や香りをよくすることで、歯磨きをしやすくする成分です。
前回お話したように、発泡剤が多すぎるとお口の中が泡だらけになり、かえって磨きにくくなったり、磨けたと錯覚して磨き残しが増えたりするので、お勧めしたいのは低発泡性の歯磨き粉です。
香味剤には一般的には清涼感のあるミントやメントールがよく使われますが、これもスッキリしすぎて磨けたと勘違いして磨き残しが起きる原因となりますので、あまり刺激が強いものはお勧めしません。
子供用歯磨き粉は、大人用の歯磨き粉と比較して成分が大きく違うわけではありません。
大人用の歯磨き粉が、ミントやメントールの香りが主流なのに対して、子供用は、歯磨きがしやすいよう刺激が少なく、
子どもが好むイチゴやブドウなど甘い味付けがしてあるだけです。ですから、大人の方でもミントが苦手な人は子供用を使っても問題はありません。
薬用成分とは、汚れを落とす歯磨き粉の基本的な成分にプラスして配合される薬剤で、フッ化ナトリウムなら歯を強くする、トラネキサム酸なら歯周病による出血の抑制といったような効能があります。
成分ではなく、形状で分類すると、次の4種類になります。
1)チューブタイプ
中身はペースト状、練り歯磨きとも呼ばれる。研磨剤、発泡剤などの成分配合でもっとも一般的なタイプで種類も豊富。
2)ジェルタイプ
とろみのある半透明のジェル状で、チューブ入りボトル入り両方あり。1)に配合される研磨剤の含有量が少なく、歯や歯茎に優しい。発泡剤無配合のものは電動歯ブラシでの使用に最適。
3)液体タイプ
マウスウォッシュ、洗口剤と呼ばれる。液体のため歯磨き粉と呼べるかは疑問。薬用成分は入っているので、炎症の抑制効果などはあるが、汚れを落とす効果はあまり期待できない。他の歯磨き粉と併用するか、どうしても歯を磨く時間がないときに使う程度がよい。
4)粉末タイプ
缶入りのものが多い。チューブタイプが発売される19世紀ごろまではこちらが主流だったため、ペースト状の歯磨剤(練り歯磨き)が主流になっても昔の名残りで「歯磨き粉」と呼ばれている。近年では無添加やオーガニック素材の歯磨き剤に利用されることが多い。
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いかがでしたか?歯磨き粉にもいろいろな種類があること、種類によって効能や使用目的が違うことがおわかりいただけましたか?次回はあなたにあった歯磨き粉の選び方についてお話したいと思います。

歯磨きのコツ(3) 歯磨き粉の種類

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前回から引き続いて「歯磨きのコツ」のお話をします。
前回までは主に歯ブラシや歯の磨き方についての説明をしましたが、今回は歯磨き粉(歯磨剤)についてのお話です。
皆さんはどのような基準で歯磨き粉(歯磨剤)を買いますか?市販されている歯磨き粉はさまざまな種類があり、値段もいろいろですよね。
歯磨き粉には、入っている成分により大きく分けて2つに分類できます。
その違いとは薬用成分のことで、薬用成分が配合されていない歯磨き粉は化粧品に分類され、薬用成分が配合されている歯磨き粉は医薬部外品に分類され、一般的にその配合物の種類により金額が高くなります。
化粧品歯磨き粉とは、効率よく食べかすやプラーク(歯垢)を除去する虫歯予防、口臭予防、などが目的の歯磨き粉です。
医薬部外品(薬用)歯磨き粉とは、フッ素化合物や抗炎症剤など薬用成分が配合された歯磨き粉のことで、虫歯予防のほかに歯槽膿漏や歯肉炎の予防、知覚過敏の抑制などの効果が目的の歯磨き粉です。
以下に一般的な医薬部外品(薬用)歯磨き粉の成分表を示します。
※紛らわしいですが、「医薬部外品」と「薬用」はほぼ同じで「医薬品(病院で処方される薬)ではないけれどそれに準じた効能がある薬」という意味だそうです。